はじめに
「いままで Amazon Linux 2 を使っており、
2025年のEoLを前に後継の Amazon Linux 2023 に移行したい。」
という需要が有ると思います。
その際
「現在 x86_64 のアーキテクチャだけれど、せっかくなので arm64 のアーキテクチャに乗り換えよう。AWSのコストも安くなる!」
とすることも有ると思います。
今回はそのような場合になにか助けになればと思い記事を記載しました。
※表記揺れ統一のため、正確には aarch64 の部分でも本記事では arm64 として一部記載します。
正確さよりも伝わりやすさを重視していますのでご理解ください。
また実際のインストール手法については本記事では記載いたしません。
目次
問題点
今回の問題点は2箇所あります
問題点1. Amazon Linux 2023 は RHEL互換ではない
いままでですと
- Amazon Linux は RHEL6相当
- Amazon Linux 2 は RHEL7相当
と(バイナリ互換ではないですが)実質的にはある程度の互換はありましたが (※1)
Amazon Linux 2023 は RHEL互換ではなく、独自のOSとなっています。
一部バイナリには Fedora 34、35、36 および CentOS 9 Streams 相当のものが用いられていますが、互換ではありません(※2)
そのため、Amazon Linux 2023ではepelやzabbix公式のyumリポジトリが利用できません。
- (※1)Amazon Linux / Amazon Linux 2 について AWS公式としましてはRHEL互換は謳っておりません。あくまで"実質的には"である点にご注意ください
- (※2)AL2023のFedora との関係について参考 : https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/linux/al2023/ug/relationship-to-fedora.html
問題点2. zabbix OSS 提供のRHEL用rpmパッケージはRHEL互換の環境用である
先述の問題点1に近いのですが、zabbixのリポジトリにあるzabbix-agentのrpmパッケージは
Amazon Linux 2023 ではなく、RHEL系のarm64に最適化されています。
そのため、そのままrpmコマンド等でRHEL9のarm64版をインストール試行したとしても、モジュール不足となりインストールすることができません。
具体的にはOpenIPMIのパッケージ提供が Amazon Linux 2023 では存在しません。
Amazon Linux 2023 のgitのissueにも上がっていますが、本記事作成段階では実装される予定はなさそうです
https://github.com/amazonlinux/amazon-linux-2023/issues/438
推奨される方法
対策としては4点あります
1. Amazon Linux 2023 を採用しない
根本的な部分になりますが、本当に Amazon Linux 2023 である必要があるか再度考えてみてください。
zabbixの問題以外にも、EoLが短いなどの問題があります
AmazonLinux2では2018/05のリリースから約7年にわたりサポートがありましたが、AmazonLinux2023では2028年にサポート終了が既に決まっており、それまでに後継のOSに乗り換える必要があります。
- AL2 https://aws.amazon.com/jp/amazon-linux-2/faqs/
- AL2023 https://docs.aws.amazon.com/linux/al2023/ug/release-cadence.html
比較としてRHEL9であれば2032/05/31まで保守があるため、長期間利用を想定する場合はAmazonLinux2023は不適である可能性があります。
RHEL9であれば、epelもしくはzabbix公式リポジトリからのzabbix-agentインストールが問題なく可能です。
2. arm64 を採用しない
arm64ではなく、x86_64であれば、
AWSサポート外となりますが CentOS9Stream や RockyLinux9 等のyumリポジトリを手書きした上で有効化し、その上でRHEL9用のzabbix-agemtをインストールすることで とあえずの動作をさせることができます。
ただし、外部OSのリポジトリからのプログラムを導入することになるため、将来的に他の動作不良が発生する可能性があります。
3. zabbix社のZabbix Enterpriseサポートに加入し、相談する
zabbix社のZabbix Enterpriseサポートに加入している場合、zabbixに関する相談を行うことができます。
場合によってはAmazon Linux 2023 かつ arm64 の動作するバイナリの提供があるかもしれません。
(※弊社からzabbix社へ問い合わせ等は行っておりません。)
4. 自分でビルドする
zabbixはOSSのため、ソースが公開されています。
こちらをダウンロードし、ソースコードを修正した上でsrpmを用いてrpmファイルの作成や、zabbix-agent自体のビルドを行うことができます。
多少の専門的な知識が必要になります。
まとめ
Amazon Linux 2023 について、独自のLinuxディストリビューションとなります。
追加ライセンスコストなく利用したいだけ、等であればRockyLinux9などを選択されたほうがお客様にとって最善である場合もあります。
私に合ったOSがわからない、などあればお問い合わせいただければ幸いです。
投稿者プロフィール
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2013年入社の平成生まれです。
初めて触ったコンピュータはPC9821でダイヤルアップでした。
その時に鯖落ちや人大杉の対応をしてくださる鯖缶になりたいと憧れ、
みなさんのお役に立てればと思っております!
#今では個人所有のパソコン・サーバだけで20台ほどあります…。
サーバー大好き!