はじめに
AWSでm7iファミリーとm7i-flexファミリーのインスタンスタイプがリリースされました!
リリースノート
ということで早速触ってみました!
起動してみた
2023/08/07現在、東京リージョン(ap-northeast-1)や大阪リージョン(ap-northeast-3)ではまだ提供開始されていないため
オレゴンリージョン(us-west-2)で検証してみます。
Linuxでの起動してみた、は他社blog等ですでにあるので、
今回はwindowsで起動させてみます。
変わったところ
リリースノートのままですがm7iについてはm6iと比較し
- CPU世代が新しくなり、処理性能が15%ほど向上
- AWS料金が増額になった(m6iよりも1.05倍ほどの料金になっています)
- CPU命令セットの強化
m5 -> m6i の世代更新の際はAWS料金の変更はなかったですが、
今回の世代更新では料金が増額になっています。これも世界的な物価高の影響でしょうか……
"CPU命令セットの強化" と書いてもピンと来ない方が多いかもしれないですが、
たとえば動画のエンコードや、機械学習をCPUで行う場合に、今回追加された拡張命令AMXを利用すると
高速化を図ることができます。
ためしてみた
AWS資料の文字だけを見ていてもCPU世代変更による性能向上がわかりにくいとおもうので
実際にベンチマークを走らせてみましょう。
ベンチマークについては利用頻度が多いと思いますxlarge で比較していきます。
世代間格差を測るため、xlargeで統一します。
EC2 : m7i.xlarge , m7i-flex.xlarge , m6i.xlarge, m5.xlarge
※すべて2vCPU 16GBmem
EBS : 50GB gp3(3000iops,125MBps)
OS : windows server 2022 日本語版 ( ami-053f1f67a8409ff2f )
※より大きなインスタンスタイプにすればベンチマークスコアは当然上昇しますが
今回は世代間格差を測る事が目的のため、この程度のサイズとしています。
ベンチマーク結果
すべてのスクリーンショットを貼り付けするとページが長くなるため、表にまとめます
ベンチマークについてはAWS側の他インスタンスの都合などもあり、テストタイミングによって変動します。
あくまで一例として捉えてください。
インスタンスタイプ | マルチスレッド スコア | シングルスレッド スコア | 従量料金(USD/時間) |
---|---|---|---|
m7i.xlarge | 3304 | 1470 | 0.2016 |
m7i-flex.xlarge | 3532 | 1392 | 0.19152 |
m6i.xlarge | 2760 | 1105 | 0.192 |
m6a.xlarge | 2933 | 1051 | 0.1728 |
m5.xlarge | 2010 | 815 | 0.192 |
m5a.xlarge | 1631 | 534 | 0.172 |
t3.xlarge(クレジット切れ) | 1601 | 634 | 0.1664 |
t3a.xlarge(クレジット切れ) | 1309 | 500 | 0.1504 |
※料金はオレゴンR(us-west-2)の場合です。
東京R(ap-northeast-1)ではm7i世代は記事執筆時点では提供されていないため
東京Rで利用開始となった際の料金について"不明"です。
大きな料金差はないと思われます。
気になった点
m7i-flex.xlargeですが、公式リリースノートに
The M7i-Flex instances are a lower-cost variant of the M7i instances, with 5% better price/performance and 5% lower prices. They are great for applications that don’t fully utilize all compute resources. The M7i-Flex instances deliver a baseline of 40% CPU performance, and can scale up to full CPU performance 95% of the time.
と記載があり、私は
「ベースラインの概念がある。CPU処理性能も常時保証されないのであればt系と同じクレジットの概念があるのかな」
と勝手に思い込んでいたのですが、ドキュメントを読んでも「バースト」の記載はなく、
またCloudwatchの画面でもクレジットについても記載はなく、マネジメントコンソールのEC2画面でクレジットunlimited のような設定項目もない(T3 unlimited を設定する箇所はグレーアウト)
のため、t系とはまた異なる「CPU性能の保証はされないが、95%の確率で一時的に性能が本来の95%相当まで発揮できる、格安のインスタンスタイプ」
が増えた格好のようです。
このままですとm7i-flexの "フル性能が出る確率" の発動タイミングや、運良くヒットした場合の保証期間がわからないので、その点は今後のAWS資料更新に期待します。
まとめ
CPU性能で並べると
高性能 <-----> 並
m7i > m7i-flex > m6a > m6i > m5 > m5a > t3 > t3a
となります。
※ベンチマーク結果ではflexのほうが高い値になっていますが、瞬間的に処理性能が落ち込むタイミングがあったので1段階落としています。
AWS料金で並べると
高額 <-----> 格安
m7i > m6i = m5 > m7i-flex > m6a > m5a > t3 > t3a
となります。
「m6iやm5を利用している方は、使用しているリージョンでインスタンス利用可能になればm7iへすぐに移行したほうがいいですね!」
と締めたかったのですが、そういうわけでもなさそうです。
m6i-flexとm6iで料金差があまりない状況です。"CPU性能保証がないので構わない" というのであればt3のほうが安いですし
- 本番で安定した性能が必要。予算に余裕もある : m7i
- 本番で安定した性能が必要。予算に余裕はない : m6a
- CPU性能不定でもいい。拡張命令セットとか合わせたい : m7i-flex
- テストで性能低くてもコスト押さえたい。CPU性能発揮できるか状況は管理したい。 : t3
- ARM系OSでも問題ない。もっとコスト押さえたい : t4g
といった感じでしょうか。。AWS費用の増額により、なかなか立ち位置の難しいインスタンスになりそうです。
投稿者プロフィール
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2013年入社の平成生まれです。
初めて触ったコンピュータはPC9821でダイヤルアップでした。
その時に鯖落ちや人大杉の対応をしてくださる鯖缶になりたいと憧れ、
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#今では個人所有のパソコン・サーバだけで20台ほどあります…。
サーバー大好き!