はじめに
サーバ監視ツールと言うとZabbixやPrometheusなどのOSSの監視ツールやAWS CloudWatchなどのクラウドベンダー謹製の監視ツールなど様々な選択肢がございますが、今回はSaaS型サーバ監視サービスであるNewRelicの概要及び基本的な機能をご紹介をさせていただきます。
目次
NewRelicとは?
冒頭にも記載しましたが、NewRelicはSaaS型のサーバ監視ツールとなり、公式サイトによると
「開発チームと運用チームが一緒にデータ関連の問題を解決できる、業界トップクラスのオブザーバビリティプラットフォームです」
とあります。
設計思想としては単純なインフラ監視だけではなく、DevOpsの観点やその先のCX(顧客体験)といったところをより意識した監視設計という印象を受けます。
なお、サービスの正式名称は「New Relic One」となりますが、今回は「NewRelic」で統一させていただいております。
サービス全体像
NewRelicは以下の3要素から構成されております。
- Telemetry Data Platform(TDP)・・・・データの「収集」
- Full-Stack Observability(FSO)・・・・データの「分析/可視化」
- Applied Intelligence(NAI)・・・・・・データの「高度な活用」
Telemetry Data Platform
NewRelicで監視・モニタリングをするためのすべてのデータソースです。
これらのデータはサーバにNewRelicエージェントをインストールし転送する他、AWS CloudWatchなど各種クラウドサービスと連携してデータを転送するなど様々なチャネルが用意されております。
TDPのデータを元にダッシュボードや監視アラートの設定を行います。
Full-Stack Observability
TDPへ保存されたデータを可視化、分析するための機能となります。
インフラストラクチャ、クラウドリソース、コンテナ、クラスタの稼働状況や、ウェブやモバイル上のサービスのパフォーマンスを可視化しユーザー視点でのパフォーマンス分析を行うことが可能になります。
Applied Intelligence
機械学習によりサーバの異常などを事前に検出、解析します。
また、アラートのスロットリングやインシデントチケットの自動振り分けにより、アラート対応者の負荷を軽減します。
Full-Stack Observabilityの機能一覧
FSOの機能についてもう少し細かく見ていきます。
FSOの主要機能は以下の通りとなります。
APM | アプリケーションパフォーマンスモニタリング Java、Python、PHPなど様々なアプリケーション環境に対応 |
Infrastructure | サーバ、クラウドリソースのリソース利用状況、ログ、プロセス等の情報をモニタリング |
Serverless | AWS Lambdaの稼働状況をモニタリング |
Browser | リアルユーザーモニタリング(RUM) ユーザー目線でページロードやエラーを把握 |
Mobile | モバイル環境をモニタリング。iOSとAndroidアプリに対応 |
Synthetics | ブラウザ体験モニタリング。ユーザー目線でページロードやエラーを把握 |
サービス提供者側の目線だけでなく、顧客目線でのモニタリングといったところも重要視されている印象です。
費用体系について
NewRelicの費用体系は公式ページにも説明がありますが前述した「Telemetry Data Platform」、「Full-Stack Observability」、「Applied Intelligence」の三要素からなります。
重要なポイントとしては、「Telemetry Data Platform」および「Applied Intelligence」はデータ利用量に応じた従量課金の方式になっているのに対し、「Full-Stack Observability」は管理ユーザの数による課金となっています。
同業他社の料金体系は基本的には監視を行うホスト(エージェント)の数に対して課金するものが多い印象ですので、このような料金体系は特徴的だと思います。
また、データ量は従量課金とありますがご契約は年間資金プールという考え方で、毎月の利用量の増減にふりまわされない、フレキシブルな物となっています。
さいごに
今回はNewRelicの基本的な仕様をご説明させていただきました。
今後は実際の監視設定方法などよりテクニカルな内容もお届けしていく予定となりますので、皆様ぜひNewRelicにご興味を持ってもらえれば幸いです。
参考
https://newrelic.com/sites/default/files/2021-10/2021_10_27_Japan_NRU_101.pdf
投稿者プロフィール
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2012年スカイアーチ入社。
主にAWSを中心としたインフラ構築運用や導入支援などを行っています。