AWS活用には認定資格取得が一番の近道? 資格の全体像と学習方法大解剖 – 前編

AWSの勉強方法に入る、その前におさらい

AWSとは?

Amazonが子会社を通して提供するAWS(Amazon Web Services)のことです。AWSは2006年からサービス提供が開始されたクラウドサービス(※)の一種で、現在世界190か国以上で利用されています。

※クラウドサービス

 インターネットなどを経由してITリソースを活用できるサービス全般のことを指します。例えば、自社でサーバーを作る際には筐体やケーブル、冷却装置、サーバーを設置するスペースや施設など…物理的な設備を準備する必要があります。一方でクラウドサーバーを利用すると、インターネットなどの回線を用意すれば数クリック・数分でネットワーク上にサーバーを作ることができるのです。

 クラウドサービスはクラウドコンピューティングサービスともほぼ同義で、単にクラウドとも呼ばれます。本ブログではクラウドサービスで統一したいと思います。

 近年クラウドサービスを利用してシステムを開発・運用する企業は増えてきています。利用されるクラウドサービスの例としては、AWSの他、Micrsoft社のAzureやGoogle社のGoogle Cloud Platformなどがあります。

AWSでできることとは?

 AWSでは数クリックでサーバーやデータベースといった基本的なインフラサービスを構築・利用できます。DNSサービスやロードバランサー、リポジトリツールといった、Webアプリケーションの構築に必要な機能はほとんどサービスとして利用が可能です。

 そのほかにも機械学習、IoT(Internet of Things)、量子コンピュータ、人工衛星、5G通信など、様々な最先端のサービスも利用できます。

 このように幅広い機能を提供しているAWSを利用すると、最先端な技術を駆使した競争力のあるシステムを迅速に開発・世の中にリリースすることができます。そのためAWSは世界的に導入・活用を検討する組織が増えており、このトレンドに伴ってAWSを扱う開発者のニーズも高まってきています。

 次の章ではどのようにしてAWSの知識を習得し、使いこなせるようになるかをご説明していきます。

AWSの知識習得にむけて

 AWSの知識習得には2つの手段があります。

 1つ目は、実践を積むことです。AWSでのシステム開発案件に参加すればAWSでのシステム開発について知識を身につけることができるでしょう。また、AWSには無料枠がありますので、個人でAWSアカウントを開設し様々なサービスを試すこともできます。開発案件に参加するにもハードルがありますので、個人アカウントで勉強することも一つの手と言えるでしょう。

 2つ目は、AWSの認定資格を得る方法です。AWSの認定資格は何か? 実践的な知識は身につくのか? 以降、前編後編にわたって「AWS認定資格とは何かから認定の種類、難易度、勉強方法までお伝えしていきます。

AWSの認定資格とは?

エンジニアがAWS認定資格を取得すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。メリットを列挙していきます。

1. AWS関連のスキルを保有していることの証明

 AWSの認定資格を持っていると、AWS関連のスキルを保有していることを客観的に証明できます。したがって社内での発言力や就職・転職活動に有利になります。例えば、AWS認定資格のうち『AWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト』は、アメリカのグローバルナレッジ社の調査によると、2020年度の調査結果では2番目に稼げるIT資格として挙げられていました。このことから、世の中で非常にニーズが高い資格であることがわかります。
※参考:https://www.globalknowledge.com/us-en/resources/resource-library/articles/top-cloud-certifications/

2. AWSイベントにおける優遇

 AWSが行っている『AWS Summit』や『re:Invent』といったイベントに参加した時点でAWSの認定資格を保有していると、認定者専用ラウンジを利用することができます。認定者専用ラウンジTシャツや扇子のような記念品がもらえるほか、軽食や電源を利用することができるので、イベントをより楽しむことができます。

3. 次のAWS認定試験取得の優待

 AWSの認定試験は2021年12月現在11種類あり、全ての試験を受験すると金額面でも負担がかかります。しかし1つのAWSの認定試験に合格すると、次の試験受験時に利用できる試験料半額クーポンを得ることができます。また、AWS公式の模擬試験についても、無料で受験するクーポンを得ることができます。したがって、一度合格すると次のAWS認定試験を受験する際はお得に受験できるようになります。

会社がAWS認定資格取得を奨励するメリット

AWS認定資格を取得しメリットを得られるのは個人だけではありません。会社としてAWS認定資格を社員に取得奨励するメリットがあります。

 AWSでは『パートナー制度』と呼ばれる制度があり、AWSを構築・運用できる会社としてAWSに認定を受けることができます。パートナーとして会社が認められる条件は複数ありますが、会社内にAWS認定資格を持つ社員がいることも条件の一つです。パートナーになると、以下のような特典を受けることができます。

1. AWSのWebサイト上で会社の紹介ページが作成される

 AWSパートナーとしてAWSのWebサイトに会社紹介を掲載できます。AWS関連の案件を獲得する際は非常に有利になります。

2. パートナー向けトレーニングサイトの利用

 社員のさらなるスキル向上に向けて、パートナー専用のトレーニングサイトが利用できるようになります。大半のWeb動画は無料となっているため、コストなしで社員のスキルアップが可能になっています。

3. AWSの利用料割引

 会社でAWSを利用している場合、3%程度の割引を受けることができます。割引率は小さいかもしれませんが、直接コストダウンにつなげることができます。

4. AWSのリセール契約

 AWSをリセールし、利益を得る契約を結ぶことができるようになります。

5. イベント等への優先申し込みコードの紹介

 AWS Summitなどのイベントは、先着申し込みで人気の講演がすぐに満席になってしまうことがあります。しかしながらAWSパートナーであれば優先申し込みコードの紹介があり、一般申し込みよりも先に申し込みを行うことが可能です。

 このように、AWSのパートナーとして認定されることは会社の利益につながります。社員にAWS認定資格の取得を推進することは大きなメリットがあると言えるでしょう。

実戦では役に立つの?

 よく「IT系の資格試験は実戦では役に立たない」と言われることがあります。

しかしながら、AWSの認定資格は実戦に非常に役に立つ資格です。理由は次の通りです。

1. AWS認定資格は有効期限がある

 AWS認定資格には3年の有効期限があります。この背景にはAWSのサービスアップデートの回数の多さがあります。例えば、2019年11月-12月の2か月間で行われたサービスのアップデートや、紹介された新サービスの数は合わせて200以上にも上ります。短期間で頻繁にアップデートされるため、AWS認定資格には有効期限が設けられており、資格取得者であってもこれらのアップデートをキャッチアップするために勉強をし続けなければいけません。

2. 問題でユースケースを学べる

 AWSの認定試験は、架空のユースケースが記載されていてそのユースケースに対してどのように対応を行うべきか、といった形式で出題されます。例えば『AWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト』の場合は、出題数が65問あります。これは、単純に考えて1回試験を受験するごとに65ものユースケースを知ることができるということです。これらのユースケースは実際の設計時や開発現場においても参考になりえます。試験勉強中に実践的な学習をしていくことができるのです。

3. 具体的なコマンドやコードが出題される

 AWS認定試験の問題文中には具体的なコマンドやコードが出題されます。例えば「権限設定用のJSONファイルが『xxx』という設定だと、ユーザーに許可されているアクションは何ですか」といった問題です。これらの知識はそのまま実戦での開発やレビューに役に立ちます。

4. 多くのサービスを網羅的に学ぶことができる

 AWSでユーザーが利用できるサービスは200を超えています。システムの設計・開発時に200を超えるサービスから最適なソリューションを選び、活用するのは非常に困難を伴います。なぜなら、そもそもどのようなサービスがあるか、サービスの概要とユースケースは、制約次項などは…といったサービスの概要や特性を把握をしておく必要があるからです。AWSの案件に参画し、利用するサービスを習得するということも大切ですが、網羅的にサービスを把握しておくということも新しい事業やサービスを企画する際には肝要です。その点AWS認定試験にむけた勉強においては、数多くのサービスの概要やユースケースの知識を身につけることができるでしょう。

前編まとめ

 ここまでAWSの概要と、AWSを学ぶために資格試験が有効であること、その理由をお伝えしてきました。AWSというサービスがただ提供されているだけでなく、ユーザーがよりよく活用できるために資格試験という形でサポートがされているということがお分かりいただけでしょうか。

 次の後編では資格試験がどのような難易度で、どのような知識領域をそれぞれカバーしているのか、勉強方法についてをお伝えしていきます。

AWS活用には認定資格取得が一番の近道? 資格の全体像と学習方法大解剖 – 後編

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