テレワークで使えるAWSサービス6選!在宅で仕事が出来るようにしよう
コロナウイルスの影響により、多くの企業でテレワークが導入されています。これまでの業務と勝手が異なるため、業務が非効率的になったり思わぬ不便を感じることが多々あるでしょう。そんなテレワークを円滑に進める上で役に立つのが、アマゾンウェブサービス(通称AWS)です。
AWSでは、テレワークで役に立つサービスを複数用意しています。今回の記事では、テレワークで使えるAWSサービスを6つ厳選して、サービスの特徴やテレワークにもたらすメリット、利用料金を詳しく解説します。
① Amazon WorkSpaces(クラウド上にて仮想デスクトップを利用できる)
② Amazon WorkDocs(インターネット上でファイルを保存できるクラウドストレージ)
③ Amazon Connect(クラウド上に顧客向けコンタクトセンターを構築)
④ Amazon Chime(Web上でオンライン会議を行える)
⑤ AWS Client VPN(AWS上に配置されたVPNを介して、自社で構築したシステムにアクセス)
⑥ Amazon AppStream 2.0(デスクトップ上のアプリケーションをブラウザ上で配信)
Amazon WorkSpaces
Amazon WorkSpacesとは、クラウド上(インターネット上)にて仮想デスクトップを利用できるサービスです。仮想デスクトップとは、サーバ上に仮想のデスクトップ機能を構築し、ユーザーはインターネットによりサーバに接続することで、デスクトップを操作する技術です。
簡単にいうと、インターネット上に集約されたデータやアプリケーションを、インターネットを介して遠隔で操作できる技術です。特定の機器(パソコン)に限ることなく、一つのデータやアプリを手元の機器から自由に操作できる点が特徴です。
テレワークにもたらすメリット
Amazon WorkSpacesをテレワークに導入すると、下記2つのメリットを得られます。
自宅、移動中やカフェなど、あらゆる場所で手軽に仕事を行える
前述した通り、このサービスは端末を選ばずいつでも同じデータにアクセス可能です。そのため、自宅に限らず移動中やカフェなど、あらゆる場面で手軽に仕事を進めることができます。
スキマ時間を減らせる上に、自宅に縛られることなくテレワークを行えるため、生産性やモチベーションの向上につながります。
情報漏洩のリスクを減らせる
Amazon WorkSpacesでは、利用者が行った操作はサーバ側で処理されます。利用者とサーバの間では操作の指示と画面の転送のみが行われるため、重要なデータを利用者の端末に残さずに済みます。
情報漏洩のリスクを減らせるため、テレワークでも通常の業務と同様のセキュリティ環境を確保できます。
利用料金
利用料金プランには、固定の料金を払えば1ヶ月無制限で使える「月額料金」と、少額の月額料金と一時間あたりの従量課金で使える「時間料金」の2つがあります。
また、利用料金は使用するCPUやメモリ、利用データ量などによって細かく設定されています。下記にて各プランの最低利用料金(Windows)をまとめましたので、参考にしてください。
月額料金 | 時間料金 | |
バリュー | 34USドル | 10 USドル/月 + 0.30USドル/時間 |
スタンダード | 45USドル | 10 USドル/月 + 0.40USドル/時間 |
パフォーマンス | 59USドル | 10 USドル/月 + 0.61USドル/時間 |
パワー | 108USドル | 10 USドル/月 + 0.89USドル/時間 |
PowerPro | 161USドル | 10 USドル/月 + 1.84USドル/時間 |
グラフィックス | 951USドル | 30 USドル/月 + 2.41USドル/時間 |
GraphicsPro | 1,283USドル | 85USドル/月 + 14.93USドル/時間 |
一点注意していただきたいのが、時間料金プラン(従量プラン)を利用しても、月額の固定料金が発生している点です。というのも時間料金プランは、1時間あたりの使用料金と、固定のインフラストラクチャコストとしての低額の月額料金の、計2種類の料金で構成されているためです。また、WorkSpacesを削除しても月額固定料金は発生するので、こちらにも注意が必要です。
Amazon WorkDocs
Amazon WorkDocsは、インターネット上でファイルを保存できるクラウドストレージのサービスです。簡単にいうと、Wordで作った文書やPowerPointで作成したプレゼン資料などを、オンライン上で保存できます。
テレワークにもたらすメリット
Amazon WorkDocsをテレワークに導入すると、下記3つのメリットを得られます。
ファイルの更新内容や作業履歴を一目で把握できる
ファイルのどの部分を更新したかや、誰がどの作業を行ったかを一目で把握できます。そのため、遠隔で仕事を行うテレワークでも手間をかけずに業務のマネジメントを行えます。
メールなどで一々やりとりせずにファイル共有可能
WorkDocsでファイルを共有すると、その旨が自動で相手に通知されます。メールを送る時間や手間を省けるため、業務に集中でき生産性が上がります。
複数人でフィードバックを送り合える
ファイル内にはコメントにて、フィードバックを書き込めます。テレワークでも密なコミュニケーションをとることができるため、業務の質を下げずに済むでしょう。
利用料金
1人あたり7USドル(1TB)で利用可能です。(2020年5月現在)
Amazon Connec
Amazon Connectは、クラウド上で顧客とのコミュニケーションシステムを構築できるサービスです。具体的には、電話で顧客とのやり取りを行うコールセンターのシステム、チャットで顧客とコミュニケーションを図るシステムを構築可能です。
テレワークにもたらすメリット
テレワークの視点から見ると、Amazon Connectを導入すると下記2つのメリットを得られます。
格安かつ少ない手間・時間で顧客対応のシステムを作れる
基本的に顧客に対応するコールセンターを構築するには、複数の機能をプロのエンジニアが長い時間と労力をかけて作り上げる必要があります。時間がかかるのはもちろん、数百万円かそれ以上もの費用がかかります。
一方でAmazon Connectでは、画面の指示に従って操作すれば、外部のエンジニアなどに頼らなくても簡単にコールセンターのシステムを構築できます。加えて、チャットで顧客対応を行うシステムも一つのサービスで作れます。少ないコスト・手間・時間で顧客対応の基盤を構築できるため、リソースや資金が限られている中小企業でもテレワークを導入可能となります。
顧客対応の大部分をオンライン・リモートに移行でき
前述したように、コールセンターの機能のみならず、チャットでの顧客対応のシステムも構築できます。コールセンターとチャット対応を組み合わせることで、顧客対応の大部分をリモートかつオンラインで実施できるようになります。
特にConnectでは、ブラウザフォンにより、インターネットに接続しながら通話できます。そのため、テレワークでの顧客対応にも適しています。
利用料金
Amazon Connectの利用料金は、チャットと音声電話で異なります。まずチャットに関しては、メッセージ 1件0.004USドル(0.43円)となります。
次に音声電話ですが、通常の電話番号 (050や03)を利用するケースと、0800などのフリーダイヤルを利用するケースで異なります。
通常の電話番号を利用する場合は、下記4種類の料金がかかります。
サービス利用料金:1分あたり0.018USドル
電話番号料金(1つの電話番号ごとにかかる料金):1日あたり0.10USドル
着信通話料金:1分あたり0.003USドル
発信通話料金:1分あたり0.0844USドル(日本国内での電話)
一方でフリーダイヤルを利用する場合、同様に下記4種類の料金が発生します。
サービス利用料金:1分あたり0.018 USドル
電話番号料金(1つの電話番号ごとにかかる料金):1日あたり0.48USドル
着信通話料金:1分あたり0.1482USドル
発信通話料金:1分あたり0.0844USドル(日本国内での電話)
Amazon Chime
Amazon Chimeは、Web上でオンライン会議を行えるAWSのサービスです。用途に合わせてビデオ通話やチャット、音声通話から会議手段を選んで使うことができます。
テレワークにもたらすメリット
Amazon Chimeをテレワークでのオンライン会議に導入すると、下記3つのメリットを得られます。
オンライン会議を助ける便利な機能が豊富
Amazon Chimeでは、単純にオンライン会議を行えるだけでなく、オンライン会議をサポートする便利な機能が豊富に搭載されています。
たとえば「目で見える名簿」の機能を使えば、参加・不参加のユーザーや、遅刻しているユーザー、発話しているユーザーを一目で把握できます。また、会議の時間が来たときに、参加予定者のデバイスを鳴らす機能もついています。この機能により会議への遅刻を防ぎ、時間通りに会議を始めることが可能となります。
上記の機能をフル活用すれば、実際に対面で会議しているような環境を確立できるため、テレワーク主体の業務プロセスに移行しやすくなります。
セキュリティを確保できる
AWSのサービスなだけあり、高いセキュリティを確保できます。たとえばメッセージや音声、ビデオの内容は暗号化されるため、外部からの傍受を妨げます。また、監査ログや退会したユーザーのアカウント停止機能もついているため、情報漏洩しやすいテレワークも安心して行えます。
世界中どこでもオンライン会議を行える
Amazon Chimeは日本のみならず世界各国からもアクセス可能です。そのため、海外支社や海外の協力会社とも手軽にオンライン会議を行えます。わざわざ海外まで出張する手間を省けるため、テレワーク主体でも事業を行いやすくなります。
利用料金
Amazon Chimeには、Basic機能とPro機能があります。このうちBasic機能は無制限・無料で利用可能です。通話やチャット機能はBasicでも利用できるため、基本的にはBasicプランを利用すれば問題ないでしょう。
AWS Client VPN
AWS Client VPNとは、AWS上に配置されたVPNを介して、自社で構築したシステムにアクセスできるサービスです。そもそもVPNとは、離れた場所間を仮想の専用線によりつなぐことで、安全な接続を可能にする技術です。
つまりAWS Client VPNは、AWSが提供するVPN環境を使うことで、離れた場所からでも安全に社内システムにアクセスできるサービスと言えます。
テレワークにもたらすメリット
AWS Client VPNをテレワークに導入した場合、下記にあげる3つのメリットを得られます。
セキュリティを高めた上でテレワークを行える
AWSのサービスに限った話ではありませんが、VPNを導入することでデータを第三者に閲覧・改ざんされるリスクを減らせます。
たとえば、街のWiFiはセキュリティが甘いため、外部から閲覧・改ざんされやすく、テレワークには向いていません。一方でVPNならば、社内システムと直接暗号化した上でデータのやり取りを行うため、リモートでも安心して業務を行えます。
VPNルータを自社で準備せずにVPN環境を構築できる
大半の企業はVPNを導入する際、VPNルータという機器を自社で準備する必要があります。一方でAWS Client VPNではAWS上に配置されたVPNを使うため、自社でVPNルータを準備せずに済みます。テレワークに必須の安全なセキュリティ環境を、より安くかつ手軽に構築できるのは大きなメリットでしょう。
ただし一点注意していただきたいのが、 AWS Client VPNを使って自社内で構築・運用しているシステム(オンプレミス)にアクセスする場合です。この場合には、オンプレミス側にVPNに対応するルーターが必要になります。
利用者を増やすときに機器の増強を行わずに済む
一般的なVPNルータの場合、一度に同時接続できる機器数は5台〜10台程度と少ないです。そのため、本格的にテレワークを行うとなると、多数のルータを準備する必要があり、膨大な費用がかかってしまいます。
一方でAWS Client VPNならば、1つのエンドポイントあたり2,000台の同時接続が可能です。利用者を増やすたびに機器を購入する必要がないため、テレワークへの移行を低コストで実現可能です。
利用料金
同サービスでは、「AWS Client VPN エンドポイントに関連付けられるサブネットの数」と「VPNに接続している端末数」それぞれに、1時間あたりの料金が設定されています。水道の基本料金と従量料金をイメージが近いです。
AWS Client VPN エンドポイントに関連付けられるサブネットの数:0.15USドル
VPNに接続している端末数:0.05USドル
Amazon AppStream 2.0
最後に紹介するAmazon AppStream 2.0は、デスクトップ上のアプリケーションをブラウザ上で配信できるサービスです。たとえば機器や使用場所などを選ばずに、ブラウザで配信されるExcelやWordなどのアプリを利用できます。
テレワークにもたらすメリット
Amazon AppStream 2.0は、テレワークに下記2つのメリットをもたらします。
外出中や自宅でも業務に必要なアプリケーションを利用できる
一つのデスクトップから配信されるアプリケーションを利用する仕組みであるため、外出中や自宅でも、好きな機器を使って業務を進めることが可能です。社内のパソコンでなくても仕事ができるため、テレワークへの移行がスムーズとなります。
利用者全員がアプリケーションをダウンロードする費用や手間を省ける
このサービスを導入すれば、一つのデスクトップだけあれば、他のユーザーも同じアプリケーションを利用できるようになります。そのため、利用者全員がアプリケーションをダウンロードする費用や手間を削減できます。
したがって、テレワークを低コストかつ簡単に始められるでしょう。
利用料金
Amazon AppStream 2.0の利用では、インスタンスの利用料(1時間ごとに発生)に対する従量料金と、ユーザー1人あたりの月額料金が発生します。
インスタンスの利用料に対する従量料金は、下記の通りです(汎用インスタンスの場合)。基本的には、利用メモリの量が多いほど、利用料金が高くなる仕組みです。
インスタンスの種類 | メモリ(GiB) | 利用料金 |
stream.standard.medium | 4 | 0.12USドル |
stream.standard.large | 8 | 0.24USドル |
一方でユーザー1人あたりの月額料金は4.19USドルです。つまり最低でも、4.31USドル(およそ465円)ほどの費用が発生するわけです。
まとめ
今回ご紹介したように、AWSのサービスにはテレワークに役立つものがたくさんあります。具体的には、業務の効率化やセキュリティの強化、オンライン会議の実施、情報の共有など、AWSのサービスはテレワークをあらゆる側面からサポートします。
コロナウイルスの影響もあり、今後のビジネスではさらにテレワークの普及が広まると予想されます。テレワークを始める際には、ぜひ今回ご紹介したサービスの中から、目的に応じて最適なAWSのサービスを導入していただければと思います。