Azureの資格とは?MicrosoftエンジニアAzure認定資格をご紹介
この記事では、Microsoft Azureに関連する認定資格についてご紹介していきます。
なお、この記事での受験料などの情報は執筆当時のものとなります。Microsoft Azureの認定資格についての情報は頻繁に変更されるため、資格取得をお考えの方はマイクロソフト認定資格の公式サイトをご確認ください。
- 1. Microsoft Azureとは?
- 1.1. SaaS(Software as a Service)
- 1.2. PaaS(Platform as a Service)
- 1.3. HaaS(Hardware as a Service)とIaaS(Infrastructure as a Service)
- 2. Microsoft Azure認定資格について
- 2.1. 初級レベル
- 2.1.1. Azure Fundamentals(開発者向け)
- 2.1.2. Azure AI Fundamentals(AIエンジニア向け)
- 2.1.3. Azure Data Fundamentals(データエンジニア向け)
- 2.2. 中級レベル
- 2.2.1. Azure Administrator Associate(管理者向け)
- 2.2.2. Azure Data Engineer Associate(データエンジニア向け)
- 2.2.3. Azure AI Engineer Associate(AIエンジニア向け)
- 2.2.4. Azure IoT Developer Specialty(開発者向け)
- 2.2.5. Azure Database Administrator Associate(管理者向け)
- 2.2.6. Azure Developer Associate(開発者向け)
- 2.2.7. Azure Data Scientist Associate(データサイエンティスト向け)
- 2.2.8. Azure Security Engineer Associate(セキュリティエンジニア向け)
- 2.3. 上級レベル
- 2.3.1. Azure for SAP Workloads Specialty(管理者向け)
- 2.3.2. Azure DevOps Engineer Expert(DevOpsエンジニア向け)
- 2.3.3. Azure Solutions Architect Expert(ソリューションアーキテクト向け)
- 3. まとめ
Microsoft Azureとは?
Microsoft Azure(マイクロソフトアジュール)とは、マイクロソフト社が提供するクラウドサービスです。2008年に製品が発表され、2010年から「Windows Azure」としてサービスが開始されました。その後2014年に現在の名称である「Microsoft Azure」と改名され現在に至ります。
このMicrosoft Azureのサービスは、初期費用が不要で使用した分だけ支払う「従量課金制」のサービスとなっています。クラウドサービスには、大きく分けて以下の3分類に分かれますが、Microsoft AzureはPaaSやHaaS/IaaSのサービスを提供しています。
SaaS(Software as a Service)
ハードウェアだけでなくソフトウェアも提供します。建築に例えるなら、土地や建造物だけでなく、それらを使って建物も造り、それらを提供するサービスとなります。
利用者から見て手間はかかりませんが、利用するうえで自分たちの細かな要望などは反映されていません。
PaaS(Platform as a Service)
基本的なコンピュータシステムの構築や稼動させるための土台となるプラットフォームを提供します。利用者は、そのプラットフォームを利用して、オリジナルのソフトウェア作成し稼働できます。
建築に例えるなら、土地の整備や建物の基礎工事までを提供してもらい、あとは自分たちで好きなように建物を建造できます。
HaaS(Hardware as a Service)とIaaS(Infrastructure as a Service)
コンピュータシステムを構築および稼動させるための基盤(仮想マシンやネットワークなどのインフラ)を提供します。建築に例えるなら、土地や建材を提供してもらい、そこから利用者が好きなように土地を利用して建物を建てたり、木を植えたりできます。
Microsoft Azureのデータセンターは、世界各地にあり、日本国内では、東日本と西日本にあります。Azure Site Recoveryというクラウドで利用できる災害復旧サービスなども展開しており、災害対策にも力を入れています。
現在、クラウド事業は隆盛ですが、2019年の調査によれば支出額での世界シェア2位がこのMicrosoft Azureとのことです。
ちなみにその1位はアマゾン社が提供するAWS(Amazon Web Services)ですが、AWSのサービス開始(機能提供)が2006年頃であることを考えると、後続のAzureの猛追はかなりの躍進といえます。
Microsoft Azure認定資格について
日本ではIT関連の国家資格として情報処理技術者試験が有名ですが、IT関連の資格には、ベンダー資格と呼ばれるIT関連のハードウェア/ソフトウェアの製品を製造や販売する企業が、製品の操作方法や保守方法などのスキルを認証する資格があります。
この中でもマイクロソフト社の認定資格であるMCP(マイクロソフト認定プログラム)は、マイクロソフト製品に対するスキルを認定する資格となり世界的に最も知名度のあるベンダー資格といえます。
MCP内の資格の中にMicrosoft Azure認定資格が組み込まれていて中でも近年のクラウド事業の隆盛などもあり、Microsoft Azure関連の認定資格の注目はかなり高まっています。
このAzure関連の認定資格は初級、中級、上級のレベルに分かれ、各認定資格を取得するには指定された試験に合格する必要があります。
初級レベル
ここでは、初級レベルの位置づけとなる以下の認定資格をご紹介していきます。
- Azure Fundamentals(開発者向け)
- Azure AI Fundamentals(AIエンジニア向け)
- Azure Data Fundamentals(データエンジニア向け)
Azure Fundamentals(開発者向け)
Azure Fundamentalsは、初級レベルの開発者向けの資格で主に以下の能力が認定されます。
- クラウドの基礎知識
- クラウドセキュリティ
- プライバシーコンプライアンス
資格認定には、以下の認定試験の合格が義務付けられています。
●AZ-900:Microsoft Azure Fundamentals
料金:12,500円(執筆時点)
日本語での受験:可能(その他の言語に英語、簡体中国語、および韓国語)
試験内容:Microsoft Azureでのサービス内容についての基礎的な知識が問われます。例えばITエンジニアではない営業部門などの人やクラウド技術者を目指す人など、ITエンジニア以外の人の受験も考慮されています。クラウドサービス関連の基礎レベルの知識が検証されますので、すでにITエンジニアとしてクラウド業務に携わっている人にも有効な試験となります。
Azure AI Fundamentals(AIエンジニア向け)
Azure AI Fundamentalsは、初級レベルのAIエンジニア向けの資格で主に以下の能力が認定されます。
- 機械学習の基礎知識
- AI(人工知能)の基礎知識
資格認定には、以下の認定試験の合格が義務付けられています。
●AI-900:Microsoft Azure AI Fundamentals(ベータ版)
料金:12,500円(執筆時点)
日本語での受験:不可(執筆時点で英語のみ)
試験内容:Azureでの機械学習の基本原則やAzureでの会話型AI機能の説明などの知識が問われます。中級レベルの「Azure AI Engineer Associate」の基礎学習としても有効となりますが、「Azure AI Engineer Associate」の認定条件に、この「AI-900」試験の合格は義務づけられていません。
※この認定資格は2020年6月からの実施となります。
Azure Data Fundamentals(データエンジニア向け)
Azure Data Fundamentalsは、初級レベルのデータエンジニア向けの資格で主に以下の能力が認定されます。
- リレーショナルデータと非リレーショナルデータの概念
- トランザクションや分析
- Azureデータサービスを使用してのデータ実装方法
資格認定には、以下の認定試験の合格が義務付けられています。
●DP-900:Microsoft Azure Data Fundamentals(ベータ版)
料金:12,500円(執筆時点)
日本語での受験:不可(執筆時点で英語のみ)
試験内容:コアデータの概念、Azureでのリレーショナルデータの操作方法、Azureでの非リレーショナルデータの操作方法、およびAzureでのワークロードの分析などの知識が問われます。
※この認定資格は2020年6月からの実施となります。
中級レベル
ここでは、中級レベルの位置づけとなる以下の認定資格をご紹介していきます。
- Azure Administrator Associate(管理者向け)
- Azure Data Engineer Associate(データエンジニア向け)
- Azure AI Engineer Associate(AIエンジニア向け)
- Azure IoT Developer Specialty(開発者向け)
- Azure Database Administrator Associate(管理者向け)
- Azure Developer Associate(開発者向け)
- Azure Data Scientist Associate(データサイエンティスト向け)
- Azure Security Engineer Associate(セキュリティエンジニア向け)
Azure Administrator Associate(管理者向け)
Azure Administrator Associateは、中級レベルの管理者向けの資格で主に以下の能力が認定されます。
- Azureソリューションの実装
- Azureソリューションの監視
- Azureソリューションのメンテナンス
資格認定には、以下の認定試験の合格が義務付けられています。
●AZ-104:Microsoft Azure Administrator(ベータ版)
料金:21,103円(執筆時点)
日本語での受験:不可(執筆時点で英語のみ)
試験内容:Azureでのストレージの作成と管理、Azureでの資源の展開と管理、仮想ネットワークの構成と管理、およびAzureでの資源の監視とバックアップなどの知識が問われます。
Azure Data Engineer Associate(データエンジニア向け)
Azure Data Engineer Associateは、中級レベルのデータエンジニア向けの資格で主に以下の能力が認定されます。
- Azureでのデータ設計とその実装
- Azureでのデータ管理
- Azureでのデータ監視
●DP-200:Implementing an Azure Data Solution
料金:21,103円(執筆時点)
日本語での受験:可能(その他の言語に英語、簡体中国語、および韓国語)
試験内容:データ記憶領域の実装、データ処理の管理と開発、およびデータソリューションの監視と最適化などの知識が問われます。
●DP-201:Designing an Azure Data Solution
料金:21,103円(執筆時点)
日本語での受験:可能(その他の言語に英語、簡体中国語、および韓国語)
試験内容:Azureデータソリューションのデザイン、データ処理ソリューションのデザイン、およびデータセキュリティとコンプライアンスの設計などの知識が問われます。
Azure AI Engineer Associate(AIエンジニア向け)
資格認定には、以下の2つの認定試験の合格が義務付けられています。
Azure AI Engineer Associateは、中級レベルのAIエンジニア向けの資格で主に以下の能力が認定されます。
- Microsoft AIソリューションの設計
- Microsoft AIソリューションの実装
資格認定には、以下の認定試験の合格が義務付けられています。
●AI-100:Designing and Implementing an Azure AI Solution
料金:21,103円(執筆時点)
日本語での受験:可能(その他の言語に英語、簡体中国語、および韓国語)
試験内容:ソリューション要件の分析、AIソリューションの設計、およびAIソリューションの実装と監視などの知識が問われます。
Azure IoT Developer Specialty(開発者向け)
Azure IoT Developer Specialtyは、中級レベルの開発者向けの資格で主に以下の能力が認定されます。
- Azureサービスの実装
- Azure IoTサービス構成の設定
資格認定には、以下の認定試験の合格が義務付けられています。
●AZ-220:Microsoft Azure IoT Developer
料金:21,103円(執筆時点)
日本語での受験:不可(執筆時点で英語のみ)
試験内容:IoTソリューションインフラストラクチャの実装、デバイスのプロビジョニングと管理、Microsoft Edgeの実装、データのプロセスと管理、IoTソリューションの監視、トラブルシューティングと最適化、およびセキュリティの実装などの知識が問われます。
Azure Database Administrator Associate(管理者向け)
Azure Database Administrator Associateは、中級レベルのデータベース管理者向けの資格で主に以下の能力が認定されます。
- Microsoft Azure Data ServicesとMicrosoft SQL Serverの実装
- Microsoft Azure Data ServicesとMicrosoft SQL Serverの運用
- Microsoft Azure Data ServicesとMicrosoft SQL Serverの管理
資格認定には、以下の認定試験の合格が義務付けられています。
●DP-300:Administering Relational Databases on Microsoft Azure(ベータ版)
料金:21,103円(執筆時点)
日本語での受験:不可(執筆時点で英語のみ)
試験内容:データプラットフォームリソースの計画と実装、運用リソースの監視と最適化、クエリのパフォーマンスの最適化、タスクの自動化、およびT-SQL使用による管理などの知識が問われます。
Azure Developer Associate(開発者向け)
Azure Developer Associateは、中級レベルの開発者向けの資格で主に以下の能力が認定されます。
- クラウドソリューションの設計
- クラウドソリューションの構築
- クラウドソリューションの保守
資格認定には、以下の認定試験の合格が義務付けられています。
●AZ-204:Developing Solutions for Microsoft Azure(ベータ版)
料金:21,103円(執筆時点)
日本語での受験:不可(執筆時点で英語のみ)
試験内容:Azure計算ソリューションの開発、Azureストレージの開発、Azure Securityの実装、Azureソリューションの監視、トラブルシューティング、最適化、およびAzureサービスとサードパーティサービスの連携と活用などの知識が問われます。
Azure Data Scientist Associate(データサイエンティスト向け)
Azure Data Scientist Associateは、中級レベルのデータサイエンティスト向けの資格で主に以下の能力が認定されます。
- Azureへの機械学習ワークロードの実装
- Azureへの機械学習ワークロードの実行
- Azure Machine Learning Serviceの使用
資格認定には、以下の認定試験の合格が義務付けられています。
●DP-100:Designing and Implementing a Data Science Solution on Azure
料金:21,103円(執筆時点)
日本語での受験:可能(その他の言語に英語、簡体中国語、および韓国語)
試験内容:Azure Machine Learningワークスペースの設定、実験の実行によるモデルの訓練、およびモデルの最適化と管理などの知識が問われます。
Azure Security Engineer Associate(セキュリティエンジニア向け)
Azure Data Scientist Associateは、中級レベルのセキュリティエンジニア向けの資格で主に以下の能力が認定されます。
- セキュリティコントロール
- Azureでのネットワーク管理
- ハブリッド環境内でのネットワーク管理
資格認定には、以下の認定試験の合格が義務付けられています。
●AZ-500:Microsoft Azure Security Technologies
料金:21,103円(執筆時点)
日本語での受験:可能(その他の言語に英語、簡体中国語、および韓国語)
試験内容:IDとアクセスの管理、プラットフォーム保護、セキュリティ運用管理、およびデータとアプリケーションの保護などの知識が問われます。
上級レベル
ここでは、上級レベルの位置づけとなる以下の認定資格をご紹介していきます。
- Azure for SAP Workloads Specialty(管理者向け)
- Azure DevOps Engineer Expert(DevOpsエンジニア向け)
- Azure Solutions Architect Expert(ソリューションアーキテクト向け)
Azure for SAP Workloads Specialty(管理者向け)
「SAP」とはドイツのSAP社が展開するERP製品を示します。Azure for SAP Workloads Specialtyは、上級レベルのSAP管理者向けの資格で主に以下の能力が認定されます。
- SAP Landscape Certificationプロセスの知識と経験
- SAPソリューションの長期運用の知識と経験
資格認定には、以下の認定試験の合格が義務付けられています。
●AZ-120:Planning and Administering Microsoft Azure for SAP Workloads
料金:21,103円(執筆時点)
日本語での受験:可能(その他の言語に英語、簡体中国語、および韓国語)
試験内容:SAP WorkloadsのAzureへの移行、Azureソリューションの設計、Azure for SAP Workloadsの構築とデプロイ、SAP Workloads向けAzureインフラストラクチャの検証、Azure SAP Architectureの運用などの知識が問われます。
Azure DevOps Engineer Expert(DevOpsエンジニア向け)
Azure DevOpsとは開発と運用を組み合わせたAzureの提供サービスのひとつです。Azure DevOps Engineer Expertは、上級レベルのDevOpsエンジニア向けの資格で主に以下の能力が認定されます。
- DevOps戦略の設計
- DevOps開発プロセスの実装
資格認定には、すでにご紹介した中級レベル「Azure Administrator Associate(管理者向け)」または「Azure Developer Associate(開発者向け)」の取得が必要で、さらに以下の認定試験の合格が義務付けられています。
●AZ-400:Microsoft Azure DevOps Solutions
料金:21,103円(執筆時点)
日本語での受験:可能(その他の言語に英語、簡体中国語、および韓国語)
試験内容:DevOpsストラテジーのデザイン、DevOps開発プロセスの実装、継続的インテグレーションの実装、継続的デリバリーの実装、依存性管理の実装、アプリケーションインフラストラクチャの実装、および継続的フィードバックの実装などの知識が問われます。
Azure Solutions Architect Expert(ソリューションアーキテクト向け)
Azure Solutions Architect Expertは、上級レベルのソリューションアーキテクト向けの資格で主に以下の能力が認定されます。
- Azure上でのコンピューティングの専門知識
- Azure上でのネットワークの専門知識
- Azure上でのストレージの専門知識
- Azure上でのセキュリティの専門知識
資格認定には、以下の2つの認定試験の合格が義務付けられています。
●AZ-300:Microsoft Azure Architect Technologies
料金:21,103円(執筆時点)
日本語での受験:可能(その他の言語に英語、簡体中国語、および韓国語)
試験内容:インフラのデプロイと設定、ワークロードとセキュリティの実装、アプリの作成とデプロイ、認証とセキュアなデータの実装、およびクラウド用とAzure用ストレージの開発などの知識が問われます。
●AZ-301:Microsoft Azure Architect Design
料金:21,103円(執筆時点)
日本語での受験:可能(その他の言語に英語、簡体中国語、および韓国語)
試験内容:負荷分散必須要件の特定、アイデンティティとセキュリティの設計、データプラットフォームソリューションの設計、ビジネス継続性戦略の設計、デプロイメント/マイグレーション/インテグレーションの設計、およびインフラストラクチャ戦略の設計などの知識が問われます。
まとめ
今回の記事では、Microsoft Azureの認定資格についてご紹介してきました。本文にも記載しましたが、まだ実施前の認定資格などもあり、制度や受験料などの情報は頻繁に変更されるため、受験を予定されている方は頻繁にマイクロソフト認定資格の公式サイトをご確認ください。