キャリアコンサルタントが重要視される理由とは??
日本は高齢化社会で少子化が進み労働人口が減っている状況の中、労働者に対してキャリア支援をしているキャリアコンサルタントがより重要視されています。企業にとってもキャリアコンサルタントが重要な理由を詳しく説明していきます。
キャリアコンサルタントの重要性
2001年に職業能力開発促進法の改正がされて以降、キャリア・コンサルティング制度が開始されました。以降よくキャリアコンサルタントという言葉を聞くようになったのですが、キャリアコンサルアントはどのようなことを求められているのでしょうか。
キャリアコンサルタントに求められること
キャリアコンサルタントは文字通り、労働者またこれから労働をしようとしている人達がキャリア形成をするためにサポートをする仕事です。仕事をするためには、ビジネスマナーから労働法などの知識、仕事の上でのメンタルケア、自分の能力を把握する方法などさまざまなことが必要になります。
そのためこれらのことを熟知していて就職支援をするだけでなく、能力開発もサポートするキャリコンサルタントが重要視されているのです。
今後のキャリアコンサルタント
今後は個人の就職支援や能力開発をするだけでなく、生活保護受給者、障害者、ニートなどさまざまな問題に対して環境への介入が必要になっていきます。日本は高齢化社会が進み、少子化が進んでいることから労働力が落ちていくことが懸念されています。
またコロナの影響で多くの人が職を失い、令和3年度新卒社員をとらないことを多くの企業が発表しています。このような社会情勢に対してもキャリアコンサルタントは対応していかなければならないのです。
キャリアコンサルタントの需要が高まっている理由
キャリアコンサルタントは国家資格として認められるまでになりました。これは社会や経済の動きが大きく影響しています。
年功序列から成果主義へ
日本は長年終身雇用、また年功序列である時代が続きました。しかし2000年以降リーマンブラザーズの経営破綻など世界同時不況が始まると同時に、日本も終身雇用や年功序列から成果主義へと変動してきました。
これまでは生涯一社で終えることがよしとされてきたのですが、キャリアアップのための中途採用が増加しはじめたのもこのころです。そのため一人一人の個性や能力が求められるようになったのです。
ワークライフバランスの必要性
これまで日本では長時間の残業、休日を犠牲にして会社のために尽くすことが評価されてきました。父親は給料を稼いでいればいいという時代だったのです。
しかし平成にはいってから仕事と家庭、また個人の自己啓発などを見直す動きが始まったのです。いくら仕事をしている時間が生活の上で一番のウエートを占めていても、自宅に帰ったら自宅や地域などでの活動が必要となるのです。
日本では平成19年12月に「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」及び「仕事と生活の調和推進のための行動指針」が策定されました。厚生労働省は企業に対して、有給休暇の取得促進や労使の自主的取組などの推進をするようになったのです。
ただ一つの仕事に費やしていた時間を他の事にも目を向けられるようになったことから、よりキャリアアップを目指す人が増えてきたのです。
女性の活躍
総務省の労働力調査にて、平成24年から平成30年まで6年連続で女性の労働力人口が増加しています。平成30年の女性の労働力人口の割合は44.1%と過去最高の数値となり、男性とほぼ変わらない数値となっています。
参考:厚生労働省
女性が持つ悩みは男性と異なり主に以下のようなことがあげられます。
- 男性との評価や賃金の格差
- 家事との両立
- 出産
- ハラスメント
- 体調面
このような女性特有の悩みをサポートするキャリアコンサルトが必要になっているのです。このことから女性向けのキャリア教育をしているキャリアコンサルタントも増えています。
派遣社員など非正規雇用の増加
ワークライフバランスが推進され働き方の選択肢が増えたことから、人材派遣やアルバイト、パートなどさまざまな就業形態が世の中に浸透していきました。
厚生労働省が発表したデータによると、昭和59年から平成11年にかけて非正規雇用労働者は急激に増えました。現在でもゆるやかではありますが、非正規雇用労働者は増えており各企業は非正規雇用労働者への対応が必要なのです。
参考:厚生労働省
非正規雇用にも派遣社員やパート、アルバイトなどありますが派遣社員は派遣元と契約を結んでいることから正社員とは考え方が多く異なります。派遣社員のメリットはこれまでの経験を活かせる点、勤務地や期間、就業時間などを選べる点、今後のステップアップにできる点などさまざまなメリットがあります。
また派遣元企業、派遣先企業、派遣社員の3者間合意があれば、派遣社員から派遣先企業の正社員になることができる、紹介予定派遣という制度もあります。
しかし派遣社員はメリットばかりではありません。派遣社員に対して受け入れ態勢ができていないと、契約内容以外でも正社員との差別がある、ハラスメントにつながる、受け入れ先が派遣法を理解せずトラブルになってしまうなどデメリットも多くあります。
このことからも、企業に派遣社員など非雇用者に対するフォローをするキャリアコンサルタントが必要になるのです。
キャリアコンサルトの役割
ミスマッチングを防ぐ
企業にとって少しでもミスマッチを減らすことにより、確実にその企業にあった人材を求人しようとしています。しかし実際には就業してから自分の考えていたイメージと違ったなど、ミスマッチが起きてしまうのが現状です。
学生時代にアルバイトなどで色々経験をして、社会経験豊富と考え就職してくる人が少なくありません。アルバイト経験の多い人ほど、アルバイトと正社員の責任の重さを理解していない人が多いのです。
しかしキャリアコンサルタントが就業前の学生、また就業者に対してフォローをすることで、正社員の責任の重さを理解しミスマッチを解消することがあるのです。
企業でも社員教育が進んでいる所も多いのですが、十分にできていない企業もあります。そこでキャリアコンサルタントの重要性が高まるのです。
職場への順応
新卒社員、また新しい職場に転職をしたばかりの人にとって、新しい職場に順応するのは簡単ではありません。折角仕事の能力がありながら、環境に馴染めず仕事を辞めていく人もいます。そこでキャリアコンサルタントがそのような人たちに対して、新しい職場への適応の援助を行います。
仕事内容、社会人としてのマナーやルールなど社会人として必要なことも含めてキャリアコンサルタントがフォローするのです。
ミスマッチしない職場を選ぶ
就業し始めてからミスマッチが起こるのは、就業者の経験不足もありますがそもそも自分にあっている企業を選んでいない可能性があります。そこで学生の間からそれぞれの能力を発見し、自分を見つめ直し自分にあった職業探しのお手伝いをキャリアコンサルタントが行います。
以上のように、就業者にとってだけでなく企業にとってもキャリアコンサルタントは重要なのです。キャリアコンサルタントは労働法、社会情勢などを把握し、カウンセリング、メンタルケアなど全般的にフォローしているのですが、今後はよりキャリアコンサルタントの働きの幅が広がっていくことでしょう。