DataDogとは?SaaSの形式で提供されるITシステムのモニタリングサービス
DataDogとは、SaaSの形式で提供されるITシステムのモニタリングサービスです。
様々なプラットフォームで稼働するITシステムをモニタリングすることができます。
DataDogの何がいいのか、どのような特徴があるのか、そもそもITシステムのモニタリングサービスとは何なのか、
それぞれ、詳しく記載していきます。
モニタリングサービスとは
モニタリングサービスは、WebアプリケーションなどのITシステムがエラーなく、きちんと稼働しているか、また、ITシステムのユーザがきちんとシステムを利用できているかを監視するサービスのことです。
具体的には、以下のような項目がITシステムに起きていないかを監視します。
- ITシステムが稼働しているサーバにエラーがないか(サーバー監視)
- ITシステムのレスポンスが極端の落ちていないか、ユーザーが使用できない状態になっていないか(アプリケーション監視)
- ITシステムが稼働しているサーバのディスク容量やメモリ使用量に異常がなく、エラーの予兆はないか(リソース監視)
また、仮に、上記のような状態がITシステムに起きていた場合、通知を行う機能も備わっているサービスが多いです。
モニタリングサービスの必要性
なぜ、モニタリングサービスを利用して、ITシステムを監視しておく必要があるのでしょうか。
それは、ITシステムのユーザーに不快な思いをさせないためです。
例えば、スマートフォンなどにインストールしているアプリケーションが何らかのエラーで使えないとき、非常に不便な思いをしたことはないでしょうか。
そのような、正常に使えない状態に何回も遭遇した場合、アプリケーションの利用をやめようと思ったことはないでしょうか。
また、アプリケーションが使えるというだけで満足をしてはいけません。素早くユーザーにレスポンスをしているか、といった性能面も監視をする必要があります。
例えばWebサイトのURLをクリックしてみてから、画面が表示される秒数が2秒かかってしまうと、クリックした人のうち50%がWebサイトの閲覧をやめてしまうという調査があります。
このように、ITシステムは素早く、当たり前に使えないと、ユーザーが利用をやめてしまいます。
そのために、常にITシステムが正常に動いていて、求められる性能を満たしているかを監視する必要があるのです。
※2014年 DeNA社の調査より。
モニタリングサービスの種類
ITシステムのモニタリングで利用される、モニタリングサービスにはどのような種類があるのでしょうか。
大体以下3種類に分類されます。
- OSSを利用するもの
- 有償のソフトウェアを利用するもの
- SaaSを利用するもの
特徴をそれぞれ、記載していきます。
OSSを利用するもの
オープンソースのソフトウェアを無償で利用する形式です。
入手が無償である一方で、構築や運用のコストがかかってしまうという欠点があります。
代表的なものとして、ZabbixやPrometheusがあたります。
有償のソフトウェアを利用するもの
ベンダーが開発したソフトウェアを購入し、利用する形式です。
ベンダーから購入する必要がある分、サポートが充実していることがおおいです。
ただし、ソフトウェアによってはやはり構築や運用にコストがかかる場合があります。
代表的なものとして、JP1シリーズやSitescopeなどがあたります。
SaaSを利用するもの
クラウドでSaaSとしてモニタリングサービスを利用する形式です。
監視対象のデータやサーバを登録しておき、クラウド上にデータを送信するとSaaS側でモニタリングをおこなってくれます。
こちらもSaaSベンダーに利用料を支払う必要がありますが、サポート等は十全にうけることができます。
また、SaaSなので導入が非常にスムーズであることが多いです。
代表的なものとして、NewRelicやDataDogがあります。
DataDogの特徴とメリット
先ほど記載したように、DataDogはITシステムのモニタリングサービスの1つです。
DataDogは他のモニタリングサービスと比較して、どのようなの特徴や、メリットがあるのでしょうか。
詳しく記載していきます。
様々なプラットフォームで、稼働・監視が可能
DataDogは様々なプラットフォームで稼働できます。
オンプレミス環境上のサーバーは勿論のこと、AWS(Amazon Web Services)や、Microsoft Azureといった、パブリッククラウド上に構築したサーバーでも稼働します。
AWS Lambdaといったサーバレス環境でも利用可能です。
また、監視できる対象はサーバーだけではありません。
ITシステムは通常、物理的な機械の上にOSやMWをインストールし、その上にアプリケーションが稼働している多層構成で成り立っています。
物理的な機械〜アプリケーションまで、性質が異なる様々な層を監視する必要があります。DataDogは、物理的な機械の稼働監視から、アプリケーションの性能監視まで、一貫して監視を行うことができます。
では、DataDogのように様々なプラットフォームで稼働が可能で、多様な層の監視が可能だと、どのようなメリットがあるのでしょうか。
それは、プラットフォームや対象の層ごとにモニタリングサービスを分けなくていいので、システム構築の際の学習コストや、システム運用時の運用コストを下げるというメリットがあります。
社内に複数のモニタリングサービスがあり、それぞれ構築方法や運用方法が異なっていると、属人化や運用方法の複雑化がおこり、コストが上がってしまいます。
DataDogに監視ツールが統合されていれば、構築も運用も低コストで可能になります。
導入が楽である
DataDogはどのように導入すればいいのでしょうか。
DataDogを導入するための手順を記載します。
DataDogのサイトにて、アカウント登録を行う
DataDogのHPにて、アカウントを入手しましょう。会社名やメールアドレス、パスワードを入力するだけで、すぐにアカウントが作成されます。
監視対象にエージェントを導入する
DataDogは、監視したい対象にエージェントと呼ばれるソフトウェアを導入します。
DataDogのサイトに行けばエージェントのダウンロードリンクがありますし、Github上にも導入用のスクリプトが公開されています。
監視対象がコンテナの場合は、コンテナ用のエージェントが用意されています。
実は、上記の2ステップだけで導入が可能です。
あとは、どのようなデータをDataDogに送るか、といった詳しい設定をしていく必要がありますが、導入するだけであれば、5分〜10分で導入が完了してしまいます。
OSSのツールや有償のソフトウェアであれば、サーバにダウンロードを行い、設計や構築、テストといった工程が必要になります。
場合によっては、どの程度ライセンスを購入するかなど、キャパシティプランニングが必要になる場合もあります。
しかしながら、SaaSであるため、構築作業や稼働テストといった工数は削減することが可能です。
また、監視対象の分(例えば、監視対象のサーバの台数など)だけ課金がされるため、事前のキャパシティプランニングもほとんど不要です。
楽に、そして高速に導入できることが、DataDogの非常に優れた点です。
運用が楽である
OSSのツールや有償のソフトウェアはサーバーにインストールすることが多いので、インストールしたサーバーについても、正常に稼働しているか監視を行必要があります。つまり監視ツールの監視を行う、ということになります。
また、エラー等によりソフトウェアが停止してしまった場合は、復旧作業を行わないといけません。
しかしながら、DataDogはSaaSなので、運用はDataDogを提供しているDataDog社が代わりに行います。
したがって、ユーザーは障害復旧作業や監視といった運用を行う必要がありません。
運用における考慮点がほとんどないため、運用コストを大幅に下げることが可能です。
他のサービスと連携できる
DataDogの優れた機能の一つとして、ほかのサービスと容易に連携を行うことが可能です。DataDogには、サービス連携が行える対象(Integrations)、2020年現在400ものサービスを対象としています。
例えば、DataDogにデータを送信できるIntegrationsの例として、AWSやMicrosoft Azureのサービスがあります。
AWSやMicrosoft AzureからDataDogにデータを送信することで、容易に監視が可能になります。
また、DataDogにデータを送信するだけではなく、DataDogからデータを受け取ることができるIntegrationsも存在します。
たとえば、Slackといったチャットツールや、pagerdutyといった通知ツールです。
このIntegrationsを使えば、DataDogで監視していた対象に異常が発生したときは、Slackやpagerdutyを経由して、どのようなエラーが起きているか通知を受けることが可能です。
優れたダッシュボードで可視化に強い
DataDogが他の監視ツールより優れている点は、なによりも、ダッシュボードによる可視化です。
利用している物理マシン、アプリケーション、クラウドプラットフォームといった、多種多様の監視対象を同一のダッシュボードで一覧化することができます。
また、ダッシュボードのカスタマイズ性も非常に高いです。
簡単なダッシュボードであれば、ドラッグ&ドロップといった簡単な作業で構築が可能です。
特定の監視対象や監視データを可視化したい場合も、「タグ付け」という機能を利用すれば、柔軟にダッシュボードのカスタマイズが可能になります。
ダッシュボード自体もカラフルで、どのようなプラットフォームやアプリケーションでどんな状態になっているかが一目瞭然で判別できます。
機械学習による異常検知機能がある
DataDogには、機械学習によりITシステムの異常を検知するWatchdogという機能があります。
この機能を使うと、ITシステムに潜む潜在的な問題も検知し、ITシステムの安定稼働を支えることができます。
例えば、以下のような状態の監視ができます。
- ある一定期間だけ急激にCPUなどのリソースが高騰している時間を検知できるAnomaly(異常値)の監視
- ディスクなどのリソースが満杯になる時期を予測し、事前にアラートを上げるForecast(予測値)の監視
- 複数のサーバのうち、1台だけ他のサーバよりも高負荷になっているサーバを検知できるOutlier(外れ値)の監視
上記の監視項目を組み合わせることで、後々トラブルになり得る潜在的なITシステムの異常を事前に検知、対策することができます。
DataDogの料金
DataDogの優れた点を順に解説していきました。
それでは、利用のための料金はどのようになっているのでしょうか。
料金体系
DataDogはSaaSなので、従量課金制の料金体系になっています。
使えば使う分だけ課金が発生します。
また、選択するプランによっても値段が変わってきます。
DataDogには2020年5月現在、Freeプラン、Proプラン、Enterprizeプランの選択が可能です。
Proプラン、EnterprizeプランはFreeプランよりも利用できる機能が豊富です。
具体的な料金
具体的な料金についてみていきましょう。
一例として4台のサーバで、ログがひと月あたり百万行出力されるITシステムをProプランで監視するとします。
その場合、2020年5月現在は、サーバ1台あたり1月15ドル、ログ百万行当たり1月1.27ドルかかるため、
4 ×15ドル + 1.27ドル = 61.27ドルとなります。よって、このITシステムの監視には、1月当たり約6500円かかります。
安く使うには?
DataDogは基本的に1月当たりの課金体系ですが、オプションで1年単位の課金体系にすることも可能です。
少々キャパシティプランニングが必要になりますが、その分コストを抑えることができます。
サービスインした商用環境などは、監視対象が増えたり減ったりすることが少ないと思いますので、1年単位の課金体系も選択肢として考えるといいでしょう。
まとめ
モニタリングサービスであるDataDogのメリットについて記載していきました。
モニタリングはITサービスを維持していくうえで必要不可欠なものです。
DataDogは、SaaSであるため導入が楽であり、様々なほかのサービスとの連携も用意です。
したがって、高速導入ができ、かつ高品質なITシステムのモニタリングを提供してくれます。
ITシステムのサービス提供を止めず、ユーザーの満足度向上に貢献するためにも、ぜひ導入を検討してみてください。
参考資料
https://www.datadoghq.com/ja/