データウェアハウスとデータベースの違い。目的によって使い分ける
近年、データ分析やAIといったワードが様々な業界で話題となっています。データ分析やAIの活用には、それぞれ「データ」というキーワードが非常に重要です。従来、「データ」を扱うためには、基本的にデータベースの利用が一般的でした。
しかし近年では、データを扱うために、データウェアハウスを利活用する、ということも一般的になってきています。データウェアハウスとデータベースは、いったいどのような違いがあるのでしょうか。
データベースとは
データを後で使いやすい形に整理した情報のかたまりのことを表します。データの追加、更新、削除といった作業を行いやすくするために、「キー」などの、データに番号を付ける仕組みや、「インデックス」といった、目次を付ける仕組みが備わっています。電話帳や住所録、といったものもデータベースの一種類です。
データウェアハウスのとは
データウェアハウス(Data Ware house、DWH)とは、『データの倉庫』の意味で、データの利活用のために、膨大なデータを保存しておくためのシステムです。データ分析を行うために、データウェアハウスに格納されるデータは、極力何らかの形で整理、整形されている必要があります。
データウェアハウスとデータベースの違い
では、データウェアハウスとデータベースは何が違うのでしょうか。どちらもデータを格納しておくためのシステムです。データベースとデータウェアハウスは、一般的に以下の違いがあります。
- 目的の違い
- 処理、分析速度の違い
それぞれ詳しく見ていきます。
データウェアハウスとデータベースの違い~目的の違い
データウェアハウスとデータベースは、その目的が異なっています。データウェアハウスは、データの分析を目的としています。そのため、アプリケーションではもう利用しなくなったアクセスログなどの膨大な情報についても格納されます。また、分析を行うため、一度格納されたデータは滅多に消されることはありません。
一方で、データベースは、ともに構築されるアプリケーションやITサービスのデータを管理する目的で構築されます。、目的に沿わないデータは更新・削除されます。例えば、ある企業の人事データを格納するデータベースは、新入社員が入社すると新入社員のデータが追加されますし、退職者が出るとデータが更新または削除されます。
このように、
データウェアハウスはデータ分析を行うという目的に特化しており、
データベースはアプリケーションやITサービスのデータ保持という目的に特化しています。
データウェアハウスとデータベースの違い~処理速度の違い
データウェアハウスとデータベースは処理速度が異なります。
データベースはそもそも高速な処理を目的としたものではなく、データの正確性を保つため、1行ずつ正確にデータを処理していきます。(これを、「行指向といいます」)
一方でデータウェアハウスは、膨大なデータを高速に処理する為に様々な仕組みを作っています。例えば、1行1行処理するデータベースと異なり、データを1列ずつ処理する、といった「列指向」の処理を行い、時系列のデータ処理について高速化を行う仕組みが存在しています。
また、大量のデータを分割して処理し、処理後にマージする「MapReduce」という仕組みが採用されているデータウェアハウスもあります。このようにデータウェアハウスは、データベースと違い、データ分析を高速に行うための様々な仕組みが備わっています。
データウェアハウスとデータベースの連携
データベースとデータウェアハウスは、それぞれ目的が異なっていますが、世の中にはデータベースとデータウェアハウス間でデータを相互に連携できる製品が数多く存在します。データウェアハウスとデータベースを明確に別のものと考えるのではなく、データを有効に使うための部品の一つとして考えてみるといいでしょう。