スキルアップに役立つIT資格とは?【エンジニアで必要な資格19選】
エンジニアは医師や弁護士のように資格がなければ仕事ができないわけではありません。ただし、ITのプロフェッショナルを目指すのであればIT資格取得は必要なステップでしょう。
そこで今回は、「エントリからミドルまでに必要な資格」「専門的な職種ごとに必要な資格」「多種類の職種に渡り段階的に網羅している資格」という3つの視点からエンジニアで必要な資格を19選紹介します。
- 1. IT資格はエンジニアに必要?
- 2. エントリからミドルレベルまでに必要な資格
- 2.1. エンジニアを目指すエントリレベルの資格
- 2.1.1. ITパスポート
- 2.1.2. 基本情報技術者(FE)
- 2.2. ミドルレベルまでに取得したい資格
- 2.2.1. 応用情報技術者(AP)
- 3. 専門的な職種ごとに必要な資格
- 3.1. マーケティング・セールス・コンサルタント
- 3.1.1. ITストラテジスト(ST)
- 3.2. プロジェクトマネジメント
- 3.2.1. プロジェクトマネージャ(PM)
- 3.3. ITスペシャリスト
- 3.3.1. ネットワークスペシャリスト(NW)
- 3.3.2. データベーススペシャリスト(DB)
- 3.3.3. システムアーキテクト(SA)
- 3.3.4. 情報処理安全確保支援士(SC)
- 3.4. ITサービスマネジメント・カスタマーサービスのITスペシャリスト
- 3.4.1. ITサービスマネージャ(SM)
- 3.4.2. LPIC / LinuC
- 3.4.3. AWS認定
- 3.4.4. Microsoft Azure認定資格
- 3.4.5. システム監査・情報システム責任者
- 3.4.6. システム監査技術者(AU)
- 3.5. ソフトウェアディベロップメント・アプリケーションスペシャリスト
- 3.5.1. エンべデッドシステムスペシャリスト(ES)
- 3.5.2. ORACLE MASTER
- 3.5.3. Oracle認定Javaプログラマ
- 4. 多種類の職種に渡り段階的に網羅している資格
- 4.1. Cisco技術者認定
- 5. まとめ
IT資格はエンジニアに必要?
IT資格はエンジニアのスキルと経験を客観的に証明します。近年IT分野は急速に発展し、ITのスキルと経験を持ったプロフェッショナルな人材が必要とされています。
企業が必要なエンジニアを見極めるためにIT資格は重要なポイントになります。
エンジニア自身にとっては、目指している専門的な職種につくために必要な資格をレベルに合わせて取得していくことで、スキルアップをはかることができます。
エントリからミドルレベルまでに必要な資格
ITエンジニアの仕事をしていくためには、基礎となる基本的な資格を取得することがおすすめです。
ここではITエンジニアのキャリアをスタートするにあたって必要なエントリレベルから、ある程度業務経験を積んだミドルレベルまでに取得したい総合的な知識を中心とする資格を紹介します。
エンジニアを目指すエントリレベルの資格
これからエンジニアを目指すといっても、ITに関して全くといっていいほど知識がない未経験に近い人と、すでにある程度IT関連の実務をスタートしている人とでは同じエントリレベルでも知識に差があります。
ここではIT初心者と経験者それぞれに適した資格を紹介します。
ITパスポート
ITパスポートは、ITに関する基礎的な知識があることを証明する国家資格でIPA独立行政法人情報処理推進機構が実施します。ITを活用するすべての社会人やこれから社会人になる学生を対象とした資格で、IT初心者の方がITエンジニアを目指して学習するために適した資格といえるでしょう。
試験では、AI、ビッグデータ、IoTなどの技術や、アジャイルなどの手法、マーケティング、セキュリティ、プロジェクトマネジメントなどから総合的な知識が問われます。
基本情報技術者(FE)
基本情報技術者は、IPA独立行政法人情報処理推進機構が実施する国家資格で、ITエンジニアとしてキャリアをスタートするエントリレベルの試験です。資格を取得することで、基本的な知識を持ち、その知識を実践的に活用できる人材であることをアッピールできます。
すでにある程度IT関連の実務をスタートしているが、これからITのスペシャリストとしてキャリアを積むにあたって必要な基本的知識とスキルを身につけていきたい人に最適です。
ミドルレベルまでに取得したい資格
ここでは、すでにITエンジニアとしてスタートを切り、経験を積む中で、より専門的で高度なIT人材を目指す過程であるミドルレベルまでに取得したい総合的な知識を証明する資格を紹介します。
応用情報技術者(AP)
応用情報技術者は、IPA独立行政法人情報処理推進機構が実施する国家資格で、ITに関する技術、管理、経営などの総合的な知識と応用力を持ち、スペシャリストとしてより専門的な方向性を確立していることを証明できます。
すでにITエンジニアとして戦略立案やシステム開発などの業務経験を積んでおり、ITエンジニアとして、より高度な人材を目指すために必要な応用的な知識とスキルを身につけていきたい人に最適です。
専門的な職種ごとに必要な資格
IT業務は専門性が高く、より高度なスキルと経験が求められます。ここでは、ITエンジニアの専門的な職種ごとに必要な資格を紹介します。
マーケティング・セールス・コンサルタント
IT分野におけるマーケティングやセールス、コンサルタントの職種は、最終的に部門の責任者としてCTO(最高技術責任者)やCIO(最高情報責任者)の役割を目指す人が経験したい職種です。また、コンサルタントのプロフェッショナルとして、ITコンサルタントの業務があげられます。
ITストラテジスト(ST)
ITストラテジストは、IPA独立行政法人情報処理推進機構が実施する国家資格で、ITを活用した事業の改革や効率化を実行するため経営の基本戦略を策定し提案、推進していく人材であることを証明します。
CTO(最高技術責任者)やCIO(最高情報責任者)、ITコンサルタントを目指す人に適しています。
プロジェクトマネジメント
プロジェクトマネジメントは、ITプロジェクトを統括して意思決定を行い、プロジェクトを成功させる責任を負う職務で、プロジェクトに関わるメンバーの育成も担います。
プロジェクトマネージャ(PM)
プロジェクトマネージャは、IPA独立行政法人情報処理推進機構が実施する国家資格で、プロジェクトマネジメントを実行するためのスキルと経験をもつ人材であることを証明します。
プロジェクトマネージャ試験では、プロジェクトマネジメントを遂行するために必要な知識と実践能力が要求されます。
たとえば、組織戦略やITシステム全般の知識、実現可能なプロジェクト計画の作成、プロジェクト目標の達成、スケジュール管理、リスク管理、プロジェクトの分析・評価などの事項を理解していることが必要です。
ITスペシャリスト
ITスペシャリストとは、IT業務の専門分野で経済産業省が策定したITスキル標準(ITSS)がレベル3以上の専門家のことです。専門性の高いITスペシャリストを必要とする専門分野がいくつかあります。ここでは専門分野ごとにITスペシャリストに必要な資格を紹介します。
ネットワークスペシャリスト(NW)
ネットワークスペシャリストは、IPA独立行政法人情報処理推進機構が実施する国家資格で、ネットワークのITスペシャリストであることを証明する資格です。ITスペシャリストとして、ネットワークに関する固有技術を活用して、システムの企画から案件定義、開発、運用、保守、セキュリティに至る業務を主導的に実行し、指導を行います。
データベーススペシャリスト(DB)
データベーススペシャリストは、IPA独立行政法人情報処理推進機構が実施する国家資格で、データベースのITスペシャリストであることを証明する資格です。ITスペシャリストとして、データベースに関する固有技術を活用して、ビッグデータを管理し、パフォーマンスの高いデータベースシステムの企画から案件定義、開発、運用、保守を実行し、指導を行います。データベース管理者のほかインフラ系エンジニアを目指す人にも適しています。
システムアーキテクト(SA)
システムアーキテクトは、IPA独立行政法人情報処理推進機構が実施する国家資格で、システム開発の上流工程を担うITスペシャリストであることを証明する資格です。システム開発における案件定義、アーキテクチャの設計、開発を担い指導を行います。
情報処理安全確保支援士(SC)
情報処理安全確保支援士は、旧情報セキュリティスペシャリストに代わるセキュリティのITスペシャリストの資格で、IRA独立行政法人情報処理推進機構が実施する国家資格です。サイバーセキュリティに関する専門的な知識と技能を活用し、セキュリティ面においてシステムの企画、設計、開発を支援し、サイバーセキュリティ対策の調査、分析、評価、指導を実行します。
近年巧妙化するサイバー攻撃は、企業にとっても国家にとっても非常に大きな脅威になっています。そのため、セキュリティのITスペシャリストは、最も重要視される人材のひとつになっています。
情報処理安全確保支援士試験合格者は、情報セキュリティのITスペシャリストとしての知識と技能を有する人材として、国家資格「情報処理安全確保支援士(登録セキスぺ)」の資格保持者となります。
ITサービスマネジメント・カスタマーサービスのITスペシャリスト
ITサービスマネジメント・カスタマーサービスの職種は、顧客(カスタマー)のニーズを踏まえて安全性と信頼性の高いサービスを提供する役割を担います。そのためには、ITスペシャリストとしての知識を持つとともに、提案する製品についても専門的な知識を持っている人材であることが必要です。
ITサービスマネジメント・カスタマーサービスのITスペシャリストであることを証明する資格には下記の資格があります。
ITサービスマネージャ(SM)
ITサービスマネージャは、IPA独立行政法人情報処理推進機構が実施する国家資格で、ITサービスマネージャとしてITスペシャリストの知識とスキルを持っている人材であることを証明します。顧客ニーズを踏まえ安全性と信頼性の高いサービスを顧客に提供し、サービスマネジメントシステムの計画立案、設計、改善のための業務を指揮・管理します。
LPIC / LinuC
LPIC と LinuCは、サーバやアプリケーション開発などで使用されるLinuxを取扱うための知識とスキルをレベルに合わせてグローバル標準で認定する資格で、ITエンジニアとしての実務スキルをアップさせるために適しています。
LPICは、グローバル基準で認定をおこなう非営利組織「Linux Professional Institute(LPI)」のLinux技術者認定資格です。Linuxを取扱うエンジニアとしてのエントリ的な「LPIC-1」、Linuxのシステムやネットワークの知識とスキルが試される「LPIC-2」、Linuxを取扱う業務のプロフェッショナルであることを証明できる「LPIC-3」の3つの資格があり、レベルの上達に合わせて段階的にスキルアップが図れます。
LinuCは、日本のNPO法人LPI-Japanが試験を実施する日本独自のLinux技術者認定資格です。LinuC もLPICと同様に3つのレベルで試験が設定されています。「LinuC-1」では、物理・仮想環境のLinuxサーバの構築と運用、「LinuC-2」では、仮想マシン・コンテナを含むLinuxシステム、ネットワークの設計・構築、「LinuC-3」では各分野の最高レベルの技術力を持つ専門家レベルを試されます。
AWS認定
近年AWSのクラウドを導入する企業が増えたことで、AWSについての知識と実務経験のある人材が求められています。AWSには数多くのサービスがあるので、体系的に学んでいくことがITエンジニアのスキルアップに求められます。
AWS認定には、基礎コース、アソシエイト、プロフェッショナルという3段階のレベルに合わせて取得していける認定と、専門知識分野ごとの認定があり、AWS関連のITサービスマネジメント・カスタマーサービスの職種を目指すITエンジニアにはマストの認定といえるでしょう。
詳しく知りたい方はこちらから>>AWSエンジニアになるにはAWS認定資格取得が一番の近道?資格の全体像と学習方法
Microsoft Azure認定資格
Microsoft Azure認定資格は、マイクロソフト社の認定資格であるMCP(マイクロソフト認定プログラム)の中に組み込まれたMicrosoft Azure関連の知識とスキルを認定する資格です。Microsoft Azure認定資格は、初級、中級、上級レベルに分かれ、それぞれのレベルに応じてITエンジニアの職種向けの資格が設定されています。
詳しく知りたい方はこちらから>>Azureの資格とは?Microsoftエンジニア Azure認定資格をご紹介
システム監査・情報システム責任者
システム監査・情報システム責任者の職務は、システム関連のリスクを分析、コントロールを点検、評価、検証して、組織の利害関係者に対して説明責任を果たす業務です。
システム監査技術者(AU)
システム監査技術者は、IPA独立行政法人情報処理推進機構が実施する国家資格で、ITスペシャリストとしての知識を持つとともに、監査対象から独立した立場で、情報システムを監査することができる人材であることを証明します。
ソフトウェアディベロップメント・アプリケーションスペシャリスト
ソフトウェアディベロップメントの職務は、ソフトウェアとハードウェアを適切に組み合わせてシステムを構築するIoT時代に欠かせない組込みシステムのプロフェッショナルです。アプリケーションスペシャリストの職務はアプリケーションの設計、開発、構築、導入、テスト、保守などアプリケーション全般にわたる業務系のプロフェッショナルです。
エンべデッドシステムスペシャリスト(ES)
エンべデッドシステムスペシャリストは、IPA独立行政法人情報処理推進機構が実施する国家資格で、ITスペシャリストとしての知識を持つとともに、IoTなどの組込みシステムの関連する専門的な知識とスキルを使い、最適な組込みシステムを設計、構築、製造できる人材であることを証明します。
ORACLE MASTER
ORACLE MASTERは、日本オラクル社が認定する資格で、日本国内でデータベース管理ソフトウェア市場において高いシェアを誇るオラクル製品を取扱う知識と技術力を認定する資格です。レベルに応じて「Bronze(ブロンズ)」、「Silver(シルバー)」、「Gold(ゴールド)」、「Platinum(プラチナ)」の4段階の資格があります。
Oracle認定Javaプログラマ
Oracle認定Javaプログラマは、日本オラクル社が認定する資格で、代表的なプログラミング言語のひとつであるJavaの技術者としてJavaに関する知識とスキルを持っている人材であることを証明します。レベルに応じて「Bronze(ブロンズ)」、「Silver(シルバー)」、「Gold(ゴールド)」の資格があります。
多種類の職種に渡り段階的に網羅している資格
資格を認定するベンダーの中には多種類の職種に渡り段階的に網羅している資格を用意しているケースも少なくありません。前述の資格の中にも複数の職種にわたる知識とスキルを認定しているものもあります。
特定非営利活動法人スキル標準ユーザー協会では、経済産業省が策定したITスキル標準であるITSSのキャリアフレームワークと認定試験・資格との関係を表示したマップを作成しています。
たとえば、「Cisco技術者認定」も多種類の職種に渡り段階的に網羅している資格のひとつです。
Cisco技術者認定
Cisco技術者認定は、Ciscoシステムズ社が認定する資格で、多種類のエンジニア業務にわたる資格で構成されています。Cisco技術者認定は、レベルに応じて、エントリ、アソシエイト、プロフェッショナル、エキスパート、アーキテクトに分類され、さらに職種に応じた資格が用意されています。
まとめ
エンジニアに必要な資格を「エントリからミドルまでに必要な資格」「専門的な職種ごとに必要な資格」「多種類の職種に渡り段階的に網羅している資格」という3つの視点から紹介しました。
エンジニアの仕事は今後ますます重要性が高まり、エンジニアに求められるスキルは、より専門性が高いものになっていくことが予測されます。
IT資格はエンジニアの知識とスキルを客観的に証明するものですので積極的にチャレンジし、新しい知識を学習していくことが重要です。