SDGsとは?ESGやCSRとの違いを徹底解説!

近年、ホームページやテレビなどでSDGsというキーワードを頻繁に目にするようになりました。SDGsとは、貧困、格差、天候などにおける課題を解決するための世界共通の目標です。世界をより良くするためには、我々はSDGsの目標を捉え、どのように行動すれば達成できるかを考えながら、生活する必要があります。

本記事では、まずSDGsとは何なのか、その概要について説明します。そして、SDGsと似たような意味であるESG、CSRとの違いについて整理します。最後にSDGsの具体的事例にも触れ、疑問点についてまとめます。

SDGsとは

SDGsとは「持続可能な開発目標」のことです。英語ではSustainable Development Goalsとなり、頭文字を取ってSDGsと表記されます。持続可能というのは、地球の資源や環境が将来のために守られている状態が持続できることを指しています。また、開発とはすべての人が安全に満足して生活するために、それぞれが協力し活動することを指します。

SDGsの経緯ですが、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として2015年に国連サミットで採択され、最終的に2030年までに、持続可能でよりよい世界を目指すための国際目標として整理されました。

SDGsは17のゴール、169のターゲットから構成されています。また大前提として、「地球上の誰一人も取り残さない」という社会を実現するという強い想いがあります。そのため、発展途上国だけではなく、先進国も積極的に取り組むべき課題であり、日本でもこの活動に取り組んでいる状況です。

SDGsの17の目標

それではSDGsの具体的な17の目標について見ていきましょう。

  1. 貧困をなくそう
  2. 飢餓をゼロに
  3. すべての人に健康と福祉を
  4. 質の高い教育をみんなに
  5. ジェンダー平等を実現しよう
  6. 安全な水とトイレを世界中に
  7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  8. 働きがいも経済成長も
  9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
  10. 人や国の不平等をなくそう
  11. 住み続けられるまちづくりを
  12. つくる責任 つかう責任
  13. 気候変動に具体的な対策を
  14. 海の豊かさを守ろう
  15. 陸の豊かさも守ろう
  16. 平和と公正をすべての人に
  17. パートナーシップで目標を達成しよう

>>JAPAN SDGs Action Platform-外務省

いかがでしょうか。SDGsには、すぐに理解でき、行動に移せる目標もあれば、自分だけでは達成が難しい目標もあることでしょう。

SDGsはこれらの17の目標をさらに細分化し、169のターゲットが設定されています。このターゲットで目標を達成するための具体的な行動、指標、期限などが明記されています。このターゲットを1つずつクリアすることで、17の目標が達成できるようになっています。

>>SDGsの目標とターゲット-農林水産省

ESGとは

SDGsと似ているキーワードとしてESG(Environment, Social, Governance)があります。

ESG(Environment, Social, Governance)とは、持続可能な世界を実現するために企業が長期的に成長する上で必要な3つの要素(E:環境、S:社会、G:ガバナンス)です。

企業のESGに対する取り組みは投資家の判断材料となります。そして、結果的に企業に投資が集まることで、企業の経営基盤は強化され、企業価値がさらに向上していくことになります。ESGの具体的な要素としては、以下のようなものがあります。

  • 環境:二酸化炭素ガス抑制、リサイクル推進
  • 社会:ジェンダー問題解消、働き方改革
  • ガバナンス:インサイダー情報管理

ESG投資

かつて、投資家が企業を判断する指標としては、売上高、利益、キャッシュフローといった財務情報が一般的でした。昨今ではその指標に加え、ESG要素への取り組みが評価されるようになっています。

つまりESG投資とは、ESG要素へ積極的に取り組む企業に対して投資をすることを指します。投資家はESGの観点を分析し、将来的に成長する企業かどうかを判断し投資しているのです。

SDGsとESGの違い

さてこのSDGsとESGですが、持続可能な世界の実現に向けて実行する行動や目標という観点では同じ意味合いです。ただし両者の違いは、その取り組み先です。

SDGsは国単位の大きな目標であり、国連や政府が主体となります。一方でESGは、対象が国から企業や投資家へ移動しています。

またそれぞれ共通目標は多いですが、ESGでは企業の成長を見据えたより小規模な目標であるのに対し、SDGsでは国を変えていくというより大規模な目標が掲げられているのが特徴です。

SDGsへの取り組み・事例

ここでSDGsへの取り組みとして国内企業の例を見てみましょう。

大企業のホームページではSDGsへの取り組みを積極的にアピールしているケースが多いです。気になる企業のSDGsについて是非チェックしてみましょう。

日清グループ

日清食品グループでは、2030年までに世界が達成すべき17の目標と169のターゲットからなる持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する取り組みを進めています。特に、消費者の健康意識の向上、環境や社会に配慮した製品購入などを、積極的に推進しています。

SDGsで該当する目標と具体例は以下です。

  • 2.飢餓をゼロに

→災害発生時の被災地支援や貧困支援を目的としたインスタントラーメンの無償提供

  • 3.すべての人に健康と福祉を

→健康志向に応える製品の開発

  • 4.質の高い教育をみんなに

→製品の売り上げの一部を国連WFPやベルマーク教育助成財団に寄付

  • 12.つくる責任つかう責任

→RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)認証パーム油やFSC(Forest Stewardship Council®) 認証紙をはじめとした持続可能な原材料の使用

  • 14.海の豊かさを守ろう

→容器・包装における石化由来プラスチック使用量の削減

  • 15.陸の豊かさも守ろう

→植物代替肉の使用、培養肉の開発

>>サステナビリティ推進体制-日清食品

パナソニック

パナソニックは約20年にわたり、WWFジャパンとの協業を通じて「海の豊かさを守る」活動を行っています。2018年3月から本社を含む2拠点の社員食堂で、MSC及びASC認証を取得した持続可能な水産物(サステナブル・シーフード)をWWFジャパンやサプライヤー企業の協力を得て導入しています。

2021年3月時点で、当社社員食堂への導入数は50拠点を超え、他企業にも導入が広がってきています。海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する必要性があることを唱えています。

パナソニックは、このサステナブル・シーフードの社員食堂導入により、MSCとASC認証の認知拡大、消費者である社員の消費行動の意識変革を促し、周囲への影響拡大を目指すことでSDGs14.海の豊かさを守ろうの目標達成へ貢献していきます。

>>『海を守る選択!』サステナブル・シーフードを社員食堂から拡げる-Panasonic

トヨタ

トヨタの究極の願いは「交通死傷者ゼロ」です。

その実現のための取り組みにおいては、安全なクルマの開発はもちろん、ドライバーや歩行者という「人」に対する啓発活動、信号設置や、道路整備など「交通環境」整備への働きかけも欠かせません。

トヨタでは安全なモビリティ社会の実現に向け、人・クルマ・交通環境の「三位一体の取り組み」を推進するとともに、事故に学び、商品開発に活かす「実安全の追求」が重要と考えています。また、交通死傷者ゼロに向けた安全技術の基本的な考え方として「統合安全コンセプト」を掲げ、技術開発を推進しています。

安全への取り組みとに関しては、以下の目標が該当します。

  • 3.すべての人に健康と福祉を
  • 9.産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 12.つくる責任 つかう責任

>>SDGsへの取り組み-TOYOTA

CSRとは

ここで、SDGsやESGとよく似たCSRについても整理しておきましょう。

CSR(corporate social responsibility)とは、企業の社会的責任という意味です。

CSRとは、企業活動において、社会的公正や環境などへの配慮を組み込み、従業員、投資家、地域社会などの利害関係者に対して責任ある行動をとるとともに、説明責任を果たしていくことを求める考え方になります。

近年、従業員のストレス、長時間労働など働き方についての課題が増えています。そのため、企業は利益を追求するだけではなく、従業員の人権や労働環境にも配慮するという社会的責任が強く求められています。

CSRとESGの違い

企業が長期的に成長するためには、多方面で信頼を得なければなりません。具体的には投資家、従業員、顧客、社会といった側面があります。その中でCSRは、企業側の視点で社会的責任を表現しています。

一方でESGは、投資側の視点で企業を判断しています。企業の成長を考えた際に、CSRとESGはその視点が異なるのです。

まとめ

SDGs、ESG、CSRの違いについて理解できましたでしょうか。

持続可能という大きな目標は同じであっても、視点や対象を変えることで課題を細かく分析し、目標達成までの手段や指標を明確にすることができます。それぞれの意味を押さえた上で、企業・従業員としてSDGsにどのように取り組めるのかを考えてみましょう。