スピードが求められるスタートアップにとって、安心してインフラを任せられる存在は貴重。
すべての人的リソースをサービスのコアな部分に注力できます。
株式会社AmaterZ 取締役 執行役員 CTO 矢島 正一氏(左)
2016年12月に設立された技術系スタートアップである「AmaterZ(アマテルズ)」。自然エネルギー技術と循環材料を活用した世界一エコな無線センサー「tukumoTM(ツクモ)」をコアとしたIoTシステムのパートナーとして、AWSおよびスカイアーチネットワークスの「サーバーレスアーキテクチャ導入支援サービス」を採用されました。迅速なサービスインを実現された経緯と効果などについてお話を伺いました。
- 株式会社 AmaterZ
- 所在地: 東京都港区南麻布4-13-5 麻布矢野ビル3F
- 設立: 2016年12月
- 代表者: 代表取締役 中島 輝子
- 業概要: 製造業
- URL:https://www.amaterz.com/
- 取材日時 2018年8月
- 記載の担当部署は、取材時の組織名です。
導入ポイント
- 迅速なサービスインを実現したスピーディな対応
- 技術者の要件や問い合わせに即時対応できる高い技術力
- 事業拡大に伴うインフラの拡張性に期待
会社概要
世界一エコな無線センサー「tukumo(ツクモ)」を軸としたIoTシステムを展開
AmaterZの事業について教えてください。
AmaterZは2016年に設立し、自然エネルギーで動くシンプルなエコ・センサー「tukumo(ツクモ)」を利用したソリューションを提供しています。一口饅頭のような極小サイズながら、独自のセンシング技術とエネルギーマネージメントで電池や給電無しで利用することが出来ます。さらに、素材には植物樹脂や再生材など環境に配慮した材料を使用し、温度、湿度、照度、振動など基本的なデータのセンシングが可能です。さらに拡張センサポートを備えており、用途に応じて様々なセンサーを拡張できます。これらデータを独自の長距離無線で遠方に伝送することができます。IoT、ICT、AIなど様々な分野へのソリューションやサービスへの活用を目指しており、現在パートナーを募集しております。
自社でも「tukumo」を活用したシステムを開発しており、現在注力しているプロジェクトの1つが、「tukumo」をセンサーとして使用した水田の水位管理システムです。機能としては、センサーによって水量データを収集し、設定した閾値以下になるとアラートが飛ぶシンプルな仕組みになっています。水田に張っている水は日々変化するので、従来の米農家の方は水田の見回りを行う必要がありましたが、アラートを受信することで水門を開ける必要がある水田を手元で確認し、効率的に作業をすることができます。
また、このプロジェクトは農林水産省が支援する「農業界と経済界の連携による先端モデル農業確立実証事業」の平成29年度実証事業にも採択され、実際に実用化がかないました。
利用状況
「tukumo」を使用した水田の水位管理システムに「サーバーレスアーキテクチャ導入支援サービス」を採用
サービスの利用状況について教えてください。
「tukumo」をセンサーとして使用した水田の水位管理システムのPoC環境そして本番環境のインフラにAWSとスカイアーチネットワークスの「サーバーレスアーキテクチャ導入支援サービス」を利用しました。
弊社では、クラウドでのシステムの構築・設計が難しいのでスカイアーチネットワークスにアウトソースすることにより、弊社の得意とする「tukumo」を使った水田の水位管理システムから送られたデータを集積・分析に注力する事ができました。
選定理由
プロジェクトのミニマムスタートに適した費用感と社内技術者との親和性
インフラとしてAWSを選んだ理由を教えてください。
私どもが実現したかったのは、シンプルで低コストなシステムです。これまでITと馴染みのなかった農家の方が活用法について具体的にイメージしやすいよう、まずは基本となるシンプルな仕組みが必要だと考えました。
そして、より多くの方に利用していただけるよう、独自開発の長距離無線LPWAを用いて維持費を抑え、アプリは無料で提供しています。まずは、スモールスタートから拡大していくイメージを持っていたので、将来の拡張性を鑑みて「はじめをどうするか」が肝心と考えていました。その意味でAWSは当方の要件を満たし、将来の拡張性も満たしつつ、最も安価に利用できるインフラだと判断しました。
また、社内にAWSの経験者が多かったこともAWSの選定に至った理由です。おそらく世の中のエンジニアはまだAWS経験者の方が圧倒的に多いはずなので、将来的に人材採用が行いやすいと考えました。そうしたエコシステムができている点もAWS選定の決め手となっています。
パートナーとしてスカイアーチネットワークスを選んだ経緯を教えてください。
スカイアーチネットワークスをパートナーとして選んだ経緯は、知人による紹介でした。他社でも検討したのですが、まずは予算を含めて受けていただけるか、そして、スピード感を持って対応していただけるのかが選定のポイントとなりました。最初にご相談させていただいた段階から即時対応いただけるレスポンスの速さや、出来るかできないかの回答が早く助かりました。
現在IoTの技術が急速に進み、実用化に対する関心が高まる中、各方面で一斉に開発が進んでいます。「IoTは今が旬」といわれており、どんなに良いサービスを作ったとしても、他に遅れれば、事業的にはマイナスの影響を受けてしまいますので、一定以上の開発スピードは担保する必要があります。
しかし、スタートアップとしてリソースが限られることもあり、ハードウェアの開発や、システムの仕様決めなど、よりコアな部分に社内のリソースを全て集めたい。そう考えた時、自社でインフラを設計・構築するより、プロに依頼する方が合理的だと考えました。そうすることで、データベースやセキュリティなどインフラ周りを意識することなく、集中すべき作業に注力できます。
「自社でインフラを管理するより、プロに依頼する方が合理的だと考えました。」(矢島氏)
導入効果
スピード感を持った提案型の対応を評価
サービスの導入効果について教えてください。
やはり1つは開発時のスピード感です。2017年12月に相談して、ユーザーのニーズが高まる6月(田植えの時期)のリリースに向けて、1か月ほどで取り急ぎ動くPoCを実現したいとリクエストしました。我ながら少し無茶をお願いしてしまったかと思いましたが、大変迅速に対応していただきました。少ない人員でやっているので、ギリギリの仕様出しにもかかわらず早い対応を求めてしまうような状況だったと思いますが、提案型で真摯に対応いただいたのでありがたかったと思っています。
インフラの部分ではコストを低くかつ高負荷に耐えられるということから、サーバーレスの設計が良いのではないかと相談したところ、的確なアドバイスのもと実現していただきました。AWSはもちろん、PaaSに対応した設計の知見があり、頼もしく思っています。また、負荷テスト等もご提案いただいて実施し、数年後も問題ないアーキテクトであることが証明されたことで、安心して開発に邁進できています。
要望と期待
スカイアーチネットワークスへの要望や期待があればお聞かせください。
もともと私は発電技術の応用からスタートし、身近な発電について研究開発していました。身の回りのものでエネルギーを得ることが当たり前の世の中になってほしいという思いで、「tukumo」を作っています。IoTシステムが全盛ですが、その中でも私どものサービスはシンプルさゆえ、一時のピークのみならず、20年、30年と長く利用いただけるものと信じています。
そして、やはりAWSは変化が激しく専門家でなければ追いつけないとつくづく実感しました。新しい仕様は常にウォッチしている必要があり、コストの体系などもわかりにくいので、これからも相談に乗っていただけると幸いです。
「tukumo」を使用した水田の水位管理システムのサービス提供イメージ
「tukumo」 を水田用途に応用した「inamo(いなも)」の設置イメージ